テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
# 延長
・白赤R有り(ぬるい)
・季節外れのクリスマス作品
・2人とも大学生
・ご本人様には関係ありません。
・パクリ、通報等はしないでください。
・5300文字程度。
──────────────────────
──12月25日はクリスマス。
さて、子供の頃には何をお願いしただろうか。
戦隊モノのおもちゃ?組み立てるブロック?
….もう忘れてしまった。
小4辺りから”サンタさん”という夢も半壊し、中学にあがれば枕元のプレゼントも無くなった。
代わりに、親が子供の前で堂々と”クリスマスプレゼント”と称して好きなものを買いに行くようにはなったが。
しかし大人になればもう、クリスマスは名ばかりのただの日常になる。
「はぁ…カップルばっか嫌んなるわ….」
「爆発してしまえ」
バイトを終え、大通りを独り練り歩く。
イルミネーションで飾られた街では、何やらラブコメを繰り広げる男女が何組も….
当たり前だが、世のカップル達にとってクリスマスとは大層特別な日らしい。
「(こっちは後輩が休んだ穴埋めるためにシフト入ったんやぞ、ふざけんな!!)」
まぁ、予定などまったく無く暇だったが。
なんなら去年もそうだった気がする。
「….はは、クリぼっちさいこー….」
いい子にしていてもプレゼントは貰えないし、今日を過ごす友人や恋人も居ない。
正真正銘のクリぼっちだ。
だが、せめて
「….イルミネーションくらいは、見ようかな」
….と、そんな訳で一番イルミネーションが綺麗な場所に来たわけだが。
(イルミネーション、綺麗だね)
(君の方が綺麗だよ)
(プレゼント渡したいからさ…この後家行こ?)
(あぁ、行こう)
etc….そこはカップルの巣窟だった。
「(来なけりゃよかった)」
イルミネーションはもちろん綺麗だ。
しかし、周りのカップル共の方が、心做しかイルミネーションの輝きを上回っている気がする。
迂闊だった。冷静に考えればそうじゃないか。
イルミネーションなんてカップルイベントの醍醐味の一つだろう。
(綺麗〜!来年もまた来ようね!)
(そうだね、来年が楽しみだな)
「…..」
….駄目だ、もう今日は帰ろう。
こんな惨めさを感じる日はヤケ酒でもしなければ気が済まない。
そう決意し、俺はコンビニへ向かった。
「あ”〜ぁ、なんやねんみんな揃いも揃ってクリスマスに蔓延って!!鳩か!?クリスマスを理由にイチャつきたいだけやろ!!」
「大体なんで見せつけるかのように外でイチャついた!?自慢か?!毎年クリぼっちの俺への当て付けか!?」
「こっちだって好きでシフト変わった訳じゃないし、大学だって充実してるし?!実質リア充やろ俺!!非リアちゃうわ!!」
虚空に向かってぶつける、愚痴、愚痴、愚痴のオンパレード。
酒のせいで、必死に蓋をしていた不満が、湯水の如く溢れてくる。
「……はぁぁぁ…….」
「….彼女、ほしぃ……」
愚痴も本音だが、悲しいことにこれも本音。
わかっている。いくらリアルが充実していても、世間が定義づけた”リア充”には該当しない。
やはり恋人を求めてしまっているのだ。
「うーん…..」
「….デリヘル呼ぼかな」
彼女もいない、経験もない、そんな状況を打破すべく、俺という人間はデリヘルに手を出す。
結局、俺はその程度の男だ。
といっても、初めて利用するため何がなんだかわからないし、正直ちょっと怖い。
だが、それがなんだ。やると決めたらやる。
そうして俺は自身の端末機器で適当に調べた店で、人気が高い子を呼ぶことにした。
今年のクリスマスは聖なる夜ならぬ、性なる夜を過ごしてやる。
宗教が〜とか、神聖な日で〜とか、そんなもの知ったこっちゃない。
こんなクリスマスだって別にいいじゃないか。
どうせ外の恋人たちも、寒さに負けないくらいのお熱いクリスマスを過ごしているのだから。
__ピンポーン
インターホンが鳴った。
来た。クリぼっちの俺にとって唯一の救世主が。酔いもほどよくなり、気分的には最高な状態。
それでも緊張感は抜けきれない。
「すぅ….はぁ…..よし、」
一度深呼吸をして、昂る鼓動を落ち着かせる。
童貞丸出しで話しかけるのはなるべく避けたい….が、無理だろう。隠すにしても限界がある。
だからせめて嫌な気分にさせないよう、配慮だけは頑張りたいところである。
ガチャ__
「あ、こんばんは〜」
「….え」
扉を開けた先には、可愛い女の子。
….ではなく、見るからに若いイケメンが居た。
おかしい。
俺が呼んだのはデリヘル嬢のりうちゃんだ。こんな眩しいくらいのイケメンはお呼びでない。
でもこんな時間に来るような人間、なんて他に居ない。
一体、何が起こっている?
「こんばんは….え、誰ですか?りうちゃんはどこに….」
「いや、俺がりうちゃんだけど」
「….え?男?」
「え、うん。見ればわかるっしょ?」
「….女の子来ると思った?」
思った。
いや待て、俺の確認不足か?でもあのデリヘルサイトは確かに女の子で….
すぐさまスマホを取り出し、先程のサイトを確認する。するとそこには、”ゲイ専用”という文字がそれはそれは小さく書いてあった。
「いやちっさ!?!?」
「だよね、俺もそれほぼ詐欺だと思う」
「….で、どうする?俺と一発ヤる?」
「ちょっ…と遠慮したいっす」
「そう?でもまぁまぁな額払っちゃってるし、フェラの一つでもしないと無駄じゃない?」
「あんた、見るからに若いじゃん。俺と同じ大学生くらい?その金ドブに捨てるのはきつくね?」
「う”….」
彼の言うとおり、懐的には大ダメージだ。
でも、だからといって、俺は男で童貞を卒業するのか?いや、女の子がいい。絶対。
別に同性愛を悪く言うつもりはないが、俺がそれになれと言われたら話は別だ。
「…とりあえず一回俺とお話しようよ、どうせまだ時間あるし」
「あと寒いからシンプルに中入れて欲しい」
「…..まぁ、それくらいなら….」
______________________
状況を整理しよう。
俺はヤケ酒をして、デリヘルを呼んだ。結果、来たのは嬢ではなくホスト(?)だった訳で。
そして現在、俺はその男…りうちゃんと….
仲良く宅飲みをしている。
「いやなんでやねんっっっっ!!??」
「うお、びびった」
「あ、ごめん….いや待って、なんで俺ら普通に飲んでんの!?」
「だあってしょーちゃんがヘタレだからぁ!」
「せっかく指名入れたんなら一回は抱いてくんないと俺が可哀想じゃん」
「だって俺男抱くとか無理やしぃ!!」
「女も抱いたことねぇ癖によくそんな事言えんな!!」
「あ”あ”っ!!?うるせぇ!!!」
とまぁ、こんな感じで仲は深まった。
もうこのまま飲んで終わろうかとすら思う。一線は超えなくても、友達になったのは確かだろう。
「…ちょっと待ってよ、まじでこのまま終わんの?まじでヤる気ない?」
「もーええやん….俺ら友達にはなれたし?」
「そうだけど〜….」
「んー”…不完全燃焼感!!これ一発ヤらないと気ぃすまんない!!」
「だから俺はしな」
ちゅ
「…へ、」
唇に残る知らない感触と、目の前にある顔。
今、俺たちは何をした?
ちゅっ…ちゅ、くちゅ
二回目のキスが、思考を遮って繰り出される。俺がわかるのは、ただ可愛らしい水音が部屋に響くだけ。
舌が蕩けているみたいで、頭がふわふわする。思考が置いてけぼりにされたみたいだ。
ただ気持ちいい。
童貞の俺に、これはいささか刺激が強すぎる。
でもそんなことはお構いなしに、りうちゃんは自身の舌をより深く絡ませてくる。
同じ大学生のはずなのに、この経験の差はなんなのだろうか。同じ….年齢のはず、なのに。
「…..ね、そろそろ指挿れて」
「ここまでお膳立てしてあげたんだから、前戯くらいは初兎ちゃんからしてよ」
「ッ….わ、かった…」
__ヌプ、
ローションを塗った自身の指を、挿れる。
存外、嫌悪感はなかった。
ぐちゅ….くちゅ
指を動かす度になる、卑猥な音。
「ん…、ぅ」
「….んは….っ、下手くそ」
「ご、め」
「んーん…いいよ、別に」
「なんか必死って感じで、悪くない」
「__かわいいね」
「っ…」
かわいい、なんて思われるのか。
そりゃあ必死だよ。初めてだし、男同士なんてAVでも見た事ないから。
ましてや男とこんな事をするなんて、ほんの数十分前までは想像もしてなかったのに。
確かに、そっちからしたら俺みたいな童貞は可愛く見えるだろう。だけど俺が欲しい言葉はそれじゃない。
「….かわいい、は…嫌や」
「俺は、気持ちいかが聞きたい」
「…ふーん..?」
「….じゃあ、こっからはしょーちゃんがリードしてね」
「….」
15分程度の行為を終え、あとから襲ってくる喪失感と虚無感。
いわば賢者タイムに入った。
でも、なんだろう。なんだか自分に自信がついたような、生まれ変わったような気がする。
“童貞”というレッテルが消えるだけで、こんなにも爽快な気持ちになるのか。
….でも。
「….うーん…..」
「(俺、こんなに性欲強かったかな….)」
もう一回を、望んでしまっている。
賢者タイムに浸っていたはずの、卒業したばかりの息子が再びやる気を出し始めた。
気持ちを切替えたいのに、それが出来ない。
当たり前だ。忘れようとして忘れられるほど俺の頭はできてないし、そんなぬるい記憶でもない。
悲しいかな、じきに息子の苛立ちが限界に達する。これは自分で慰めてもおさまらないだろう。
かと言って、疲れ果て、隣で眠っている彼に頼むのも気が引ける。
延長料金を払えばきっとまたしてくれるだろうが、それは彼に負担がかかってしまうため、なるべく避けたい。
「……….」
「……….」
「……………抜くかぁ…」
葛藤の末、自慰に逃げた。
しかし物は試しだ。
自分がそう思っているだけで、案外どうにかなるかもしれない。というかなってくれ。
「…..」
「(場所変えよ….)」
流石に真横で抜くのは(興奮はするが)気が引けるため、俺は静かにトイレへ向かった。
便座に座り込み、自分のそれを握ってみた。
__キュッ
「….っ、」
触れる刺激に反応はするも、物足りない。
やはりあれほどの快楽が必要なのだと、握った瞬間理解してしまった。
あの快楽が欲しい。
あの声が欲しい。
あの熱が欲しい。
一度深く、そう望んでしまってはもう遅い。
理性がギリギリで本能の手網を握ってはいるが、身体は正直で、既に爆発寸前だった。
一応握った手を上下に動かし、どうにか抜こうと試みるも、愚息は言うことを聞かない。
もう….我慢するしかないのだろうか。
「…きっつ….」
__バンッ!!
「うぇっ!?ちょ、りうちゃん!?」
急に扉が開くもんだから何かと思ったら、拗ねたような顔をした彼がいた。
「….なぁに一人で気持ちよくなろうとしてんの?」
「いや、だってもう時間終わるし…」
というか、身体はもう大丈夫なのだろうか。
一見何ともなさそうだが…いや待て、こんなに舐め回すように見たら、鎮まりかけていた欲がまた膨れ上がってしまう….もう遅いけど。
「延長料金払えばいいじゃん、なんのためのデリヘルだよ」
「…でもりうちゃんに負担かかるやん…..」
「それはー….まぁ、そうかもだけど」
「でもダメだよ、俺がいるのに一人で気持ちよくなっちゃ」
「…..てか、手だけでこれ治ると思ってんの?見るからにキツそうだろ」
とっくに見透かされていた。
….甘えてもいい、のだろうか?
「もう一回….してもええの、?」
「….いーよ、てかさっきやったばっかなのにそんな元気って….童貞くんの癖に生意気〜」
「…..もう、童貞じゃないわ」
「…延長…..よろしくお願いします」
俺は立ち上がり、彼の….りうちゃんの腕を引いて、再びベッドに沈んだ。
どちらからとも分からない強引に交わしたキスを境に、俺の12月25日は幕を閉じた。
end.