TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する







※ 百 合


自衛お願いします。











教室の真ん中、ひとり煌びやかに笑う少女だけが私の瞳に映る。


緩く雑に結われた三つ編みを指先で弄りながら数学の問題集を開く。


彩り豊かな付箋が貼られ、表紙も裏表紙さえ使い込まれた後が残っている。


綺麗とは正反対に位置する私を表した様な問題集から目を逸らしたくなった。


逸らした目線の行き場は矢張り美少女あの子で。


羨ましい。


心底そう思った。


可愛くて

性格も良くて

誰にでも好かれて

恋する乙女


決して友達には成りたくない。


憧れとは違う。


ぼんやり眺めていると彼女と眼が合う。


元々大きな瞳を更に大きくして、そして細めて笑った。


そんな彼女を見てしまった所為で一気に鼓動が早まる。


どくどくと脈打つ心臓が痛い。


煩い。


熱も無ければ夏でも無いのに身体が熱い。


私を見た後、彼女が愉しそうに話し掛けたのは恋をしている彼で。


「 ねえ、今度遊ぼうよ! 」


甘い、可愛らしい声に溜息を零した。


「 羨まし、 」


心底彼と立場を取り替えたいと思ってしまう自分が憎たらしい。


「 いいよ、他に誰誘うー? 」


「 2人がいいんだけど 」


羨ましい。


2人きりで遊べるアンタが恨めしい。


「 あ、斉木さんとか色んな人誘おうぜ! 」


「 … は 」


突如、彼の口から放たれたのは私の名前で日陰から急に日向に来てしまった様なそんな感覚に陥る。


熱かった身体は冷え切り、脈打つ心臓は先程とは違う脈の打ち方をし出した。


「 あー、うん、いいよ、笑  」


何、してんの。

馬鹿。


どうして彼の口から私の名前を放ったのか。

どうして貴女は其れを受け入れるのか。

どうして貴女の恋は何時までも叶わないのか。


ねえ、どうして、


「 斉木さんのこと好きなの? 」


「 え、まじ?バレる? 」


そんな返事しないで欲しかった。


アンタなんか大嫌いだ。


彼女を傷付けて、

私を苦しませて、


ダイキライだ。


「 … バレバレだよー!笑

もうめーっちゃ応援してるね! 」


ほら、もうとっくに、

手遅れだ。




昔から貴女が気に入らない。


どうにも貴女が気に食わない。




愛しい

苦しい

憎らしい




貴女の恋よ、実ってしまえ。














愛 し て 乙 女

リ ナ リ ア




𝐹𝑖𝑛.





loading

この作品はいかがでしたか?

10,101

loading
チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚