テラーノベル
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今回は💙→❤️←💛。
わたし初のちょっとだけ💙×💛 要素あり。
苦手な方はご遠慮ください😅
「ねぇ、涼ちゃんって元貴の事好きでしょ」
突然若井にそうたずねられる。
MV撮影の後、スタッフさん達は片付けに大忙しだし、単独の仕事で忙しい元貴は先に帰り控室には俺と若井と2人きりだった。
「急に何言ってるの。もちろん好きに決まってるでしょ〜」
一瞬ドキッとしたけれどうまく隠していつも通り笑ってみせる。
「そっちの好きじゃなくて『恋愛』の好き」
若井はニヤニヤと笑いながらこちらを見ている。
「だってさぁ、元貴の事めっちゃ熱い視線で見てるのに元貴が絡んできたらなんか不自然に表情消したりするじゃない」
俺はどんどん顔が熱くなってくる。コレじゃあ正解だと言っているようなものだ。
俺はくやしくなって唇をとがらせながら若井の方を見る。
「なんだよ。俺だって知ってるんだからね」
若井はなんだよ?という風に片方の眉を上げてみせる。
「若井だって友達としてだけじゃなく元貴の事『好き』なくせに」
若井は無言になる。
俺だってただ元貴の事見てたわけじゃないんだから。元貴を見ていたら必然的に若井の事だって目に入る。たまに覗く熱い視線や隠しきれない嫉妬にだって気付いていた。
「……やっぱりバレてたか」
「当たり前でしょ」
軽いため息をはいてみせた若井に、俺も肩をすくめてみせた。
「じゃあさ、俺らってライバルって事になるの?」
まぁそうなるのか?でもなんかよくありがちなトゲトゲしさは感じない。
「まぁ、そうなる、よね?」
若井もなんかよく分からないって感じで首を傾げている。
ふむ、確かに若井とは仲間で信頼してるからもし元貴が若井の事を好きになったとしたらツライけど2人の事を祝福できると思う。自惚れでなければきっと若井も同じように思ってくれるだろうと信じられる。
……でもそれじゃない、何か変な違和感を感じるのだ。それは若井も同じようだ。
「まぁまずはお互い元貴が男同士って事を受け入れてくれるかってのが第一関門だもんねぇ」
「そうなんだよなぁ」
若井と2人顔を見合わせる。
そうか、俺たちライバルにすらなれていないのか。 なんだかおかしくなってきて2人で笑ってしまう。
「ねー、若井って元貴のどんなトコが好きなの?」
「うん?どこってもう昔からの付き合いだからなぁ」
若井は首を傾げてうーんと考えている。
「やっぱり1人にしとくと危なっかしいっていうか、暴走しちゃうっていうか……」
「そうそう。なんか元貴ってすっごい遠くが見えてるのに足元見えてないんだよね」
俺もそれに同意してうんうんと首を振る。
「だから俺が一緒にいてやらなきゃっていうか、一緒に目標に向かって走ってる時のキラキラした笑顔見てるとかわいくてドキドキワクワクするんだよなぁ」
若井が顔を赤くして恥ずかしそうにそっぽを向く姿がかわいく思えて思わず笑ってしまう。
「あー若井はそっち派かぁ」
「えっ?涼ちゃんは違うの?」
「俺はねぇ、普段強いはずの元貴が弱さを見せて頼ってくれる時が好きなの。あー、俺って元貴の役にたててるんだなって思うと充実感を得られるっていうかすっごい愛しいと思っちゃうんだよね」
へ〜と若井は頷きながら、あっと声をあげる。
「なんかそれってまんまBFFじゃない?」
「あっ、確かに」
2人で顔を見合わせてプッと吹き出す。
「ははっ、さすが元貴。やっぱり俺たちの事よくわかってるよなぁ」
「ホント」
俺たちはまるで女子高生のように笑い合う。 2人でお腹を抱えてて笑う笑い声が他に誰もいない部屋に響いた。
しばらく2人で笑いあった後、ふぅと一息ついて「でも…」と若井がつぶやく。
「やっぱり元貴にとっては『友達』なんだよなぁ」
BFF…『永遠の親友』。決して恋愛ではない。
お互い顔を見合わせて苦笑する。
……その時ふっとある事が頭をよぎる。
「ねぇねぇ、ちょっと聞いてみたい事あるんだけどいい?」
ちょっと上目遣いで聞くと若井はおもしろそうに笑う。
「もう今更でしょ。なんでもこいだよ」
まぁ確かにそうなのだが…。俺は思い切って聞いてみる。
「若井って元貴の事抱きたいの?抱かれたいの?」
その途端ブッと吹き出した後、若井がゴホゴホと咳き込んでしまった。
「あ、ああー、そっちね」
若井はちょっと苦笑する。だって男同士なのだ。これってけっこう重要でしょ?
「……俺は元貴を抱きたい」
若井は遠くの壁を真剣な目で見つめながらハッキリとした声で言う。
「やっぱりそうか…」
俺はそんな若井を見つめながらふぅとひとつため息をつく。
「なんだよ、そういう涼ちゃんこそどうなんだよ」
今度は若井はちょっと恥ずかしげな顔をして俺に聞いてきた。
「……俺は元貴に抱かれたいの」
「えっ?ウソ」
若井は驚いたように俺を見つめてくる。
あまりにも思った通りの反応をする若井に思わず吹き出してしまう。
「そうなの。俺、元貴より身長もあるのにさ、抱きたいんじゃなくて抱かれたいの」
たぶんそうだろうと予想していた俺と違い、よほどビックリしたのか若井はまだ目を丸く見開いている。
「えー、じゃあ俺たちタチネコ逆なの?」
「そうみたいよ」
クスクス笑いながらそう言う俺に若井は不服そうに唇を尖らせる。
「なんで?元貴かわいいじゃん。やっぱり男としては抱きたいでしょ」
「なーに言ってんの、ゲイの時点でそんなの関係ないじゃない。元貴は確かにかわいいけどさ、でもめちゃくちゃカッコいいよ」
「いや、まぁ確かにそうだけどさ…」
そう言ってまだブツブツ呟いている若井に笑えてくる。
「あーおもしろい。でもこういうのもいいね」
若井も元貴の事好きなのかな?どうだろ?とモヤモヤしながら過ごすより全然スッキリする。というより元貴という大きな敵と共闘する仲間ができたみたいで楽しい。
「まぁ確かにそうだよね。じゃあこれからお互い隠し事なしで」
「どっちが上手くいっても恨みっこ無しだね」
お互い肩を組みながら笑い合う。
「それで、お互いだめなら慰め合おっか」
ひとしきり笑いあった後、するりとその言葉が口から出てきた。
フッとすぐ近くにある若井と目が合い、 若井の方も無言でコチラを見つめてくる。
出会った頃とは別人のように男らしく整ったキレイな顔。
ふーん。やっぱり若井はタチだったのかぁ。なんだか不思議な気持ちでしげしげと見ているとふいに若井の顔が近づいてきて、チュッと軽く唇が重なった。
不思議な事に驚きはなかった。それが自然な流れだったかのようにお互い見つめ合う。何も言わずにもう一度顔を近づけてくる若井に今度は俺からも顔を寄せた。
ゆっくりと何かを確かめ合うようなキス。
そうして俺たちはまた静かに離れる。
これは何の意味も持たないもの。それはお互いによくわかっていた。
でも…この先、元貴がストレートでどうやっても相手にされないのであればこうやって慰め合うのもいいのかもしれない。
ふとそう思った。
「あーあ」
そう言いながら俺はソファーの後ろに倒れながら一つ伸びをする。
若井もただ苦笑していた。
「まっ、お互い元貴に嫌われないように気をつけてがんばりましょう」
「そうだね〜」
そう言って何事もなかったかのようにおかしそうに2人で笑う。
「あっ、そう言えば明日の予定ってなんだったっけ?」
「涼ちゃんもう忘れちゃったの?明日はみんなで集まって新曲の練習でしょ」
「あーまた新曲かぁ。元貴いったい何曲作ってくるのよ」
俺泣いちゃう、と顔をしかめるとすかさず若井の突っ込みが入る。
「まだまだこれからでしょ。あれは止まらないよ〜」
「まっ、気合い入れて着いてくしかないか」
「お互いがんばりましょ」
そう言う俺に若井はニヤッと笑ってみせる。
「色んな意味で…ね」
そうして見つめ合った後プッと2人で吹き出しお腹を抱えて笑う。
よくわからないけど、俺たちなら何が起ころうとこの幸せはなくならない、そう思った。
なんでしょう、これは。自分でも何が何だかわかりません。
今まではひろぱは完全に傍観者の位置にいたんですが、なんとなく絡めたくなってふと思いついたのがこの話しだったんです。
今書いてる長編が思いの外長くなって疲れてきたのでちょっと箸休め。笑
読むのは基本雑食なのですが書くのは❤️×💛 しか書いた事のなかったのでなんか変な感じでした😅
読み返してみて、まぁハードなのは苦手なわたしらしいのかな?なんて思う作品でした。笑
コメント
7件
💙💛がライバルなのに、トゲトゲしくなくて、時折甘さもあって、私好きです🫶
えぇ〜っ!新鮮✨⤴️ 短編!?続き無いんだぁ🥲 大森さんが登場しないのも新鮮っ! ライバルのようで同士のようで、でもお互い求めているものが違うって最強のバランス! なんだかんだ認め合えてる二人に大森さんを落とす瞬間が訪れることをいのってます✨
取り合ってトゲトゲした関係よりも、こういうお互い頑張ろうっていう恋愛大好き✨️