コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
『そうでしょうか?私は、走るのも苦手で魔法もヘタで…いっつも、友達には駄目な所の塊しか無い…なんて、言われておりますよ?』
『ベル……儂は、ベルの事を心から愛しておる。…才能はまだ、芽吹いたばかりで、そして、華が早くに開いた物は枯れるのも早い物。……だからこそ、ベルは自分を大切にしなさい。確かに、儂はベルの本当の父では無いから、ベルは不安になるだろうが、儂がベルの事をいつも、愛して大切に思ってる気持ちに偽りはない。あと、…自分を馬鹿にするものはもしかしたら、悪魔かもしれない。……それは、覚えておきなさい。』
『は、…はい、師匠?』
『今日はもう遅いから、儂は寝るぞ?…今日は、誕生日おめでとう?ベル?明日は前から言った通り、儂は城への勤務。言わば、女王陛下の元で妻と一緒にこれからは死ぬまで支える事になる。ベル、この村に残す形になるが…、もう大人故に儂がいたら、良い男と結婚する時に邪魔になる。故に、儂はベルを此処に残すが、何かあったらいつでも、城までおいで?…あと、誕生日プレゼントだが、これを……』
そういって、師匠は私に小さな白い鴉の雛鳥が入った鳥籠を渡した。
美麗な羽に、羽を広げると天使のようで、とてもとても愛らしく片足にはエメラルドの宝石がついた銀のタグがついている。
『伝書鳩?いや、……伝書鴉でしょうか!?…天使のようで可愛いです!』
『ふふっ?愛らしいだろう?鴉だが、見た目が天使のようで可愛くて、つい買ってしまった。エメラルドのタグは…宝石故に魔法効果もあるが、……儂や、ベルが友達と遠く離れても、この賢くて美麗な鴉がどこまでも手紙を届けてくれる。……雛鳥故に些か迷子等心配だろうが、華奢なのに飛んだりどこかに行くのは早い種だ。………だから、安心しておくれ?』
『師匠?…有難うございます!……この鴉将来のパートナーとして、一生、大事にしますよ!』
『嗚呼……そうしなさい?だが、結婚の報告はもっと遅くにしておくれ?儂が寂しくなる?』
揶揄うように師匠が口にした後、微笑む彼は地下室の中にて長い彼の顎髭を撫でるなり、そろそろと眠たげに、踵を返して地下室の扉から出て行った。
きっと、師匠はこの後、眠りにつくだろうと、頭に思い浮かべると、試しに鳥籠から白い天使のような鴉を取り出して自分の人差し指に乗っからせながら顔を近づければ鴉は羽をパタパタと動かして笑みをこぼす。
『本当に、綺麗だな。……そうだ、名前を決めなきゃ…』
『ふぁっ、…眠い。今までは師匠の弟子だが、明日から、私はエクソシストとして一人でお仕事です。…名前の前に寝ます……おやすみなさい?』
微睡む視界にうとうととする中、ベルはその鴉の名前を後に、地下室の図書館のようにある本棚の片隅にある円型テーブルに鳥籠と鴉を入れるなりゲージを締めた後、近くにあるソファに寝そべり、毛布を被って寝るのであった。
三日月に迸るぐらいの月白に、瑠璃色に、燦爛とした星々や妖精の鱗粉の如く煌めく、宝石を集めたような洞窟が見える。
夢の中である。なんて、こんなに分かりやすい物は久々に見た。
琥珀色に瑠璃に群青色の洞窟の上からガラスのポットのカケラで埋めたような丸い電球に、サファイアのような煌めきを持つ妖精が羽を羽ばたかせていた。その中に今日、師匠から貰った天使のような鳥も。
鳥は高らかに飛びながら私の肩へと、乗ると口に咥えていた手紙を私に渡す。
『汝の敵は常に近くにいる。今日は我が汝に守りの魔法を掛けて置いた。感謝は要らぬが、常に周りを警戒しておくれ?………そうだ。汝はヒュドラを倒す手伝いをしてくれ。……この礼は、いつか貰うぞ?』
『いつかって……いつ?……勝手に、私に魔法を掛けてきて……。…私に何か危険等あるのでしょうか?』
『汝はまだ雛だな。……位をつけるならば、グリフォンぐらいの力だ。……グリフォンでヒュドラを倒すとなると、だいぶ力をつけねばなるまい。…それでも、他でもなく汝が1番、それに敵役してるのが恐ろしい事だが。』
泡沫が弾けるように静かで梟が夜を観測する時よりも、穏やかな声色で、宛ら脳裏に夕凪のアルペジオを指先一つ一つに触れるように、月時雨の小さな音を聴くようにとても、静かな聲だ。
『…時期に分かる。しかし、我は舞い降りただけで、契約をするかは汝が決める事だ。……どうせ、この聲だ。……この睡魔に漂うならば、こんなにも眞秀場と等しき瑠璃の洞窟に心地良い話し方で安心させようと話した内容ですら、玉響に汝は忘れるだろう。……明日、知らせるならば汝に災いが降りかかる。それに漬け込んだ我も同罪だが、小さな魔法を掛けてあげただけだ。後は、汝が決めろ。良いな?』
月時雨の落ちる音に、徐々に瑠璃の雨も水溜りを作るように、受け取った誰かの言葉は、ベルの中で溶けていくのであった。