「自分を見失いそうになる
くらいに」
アルバムを見終えてから、 美穂(みほ)がどことなくそわそわしているのはわかっていた。
だから彼女に腕を引かれた時、なにか言いたいことか、伝えたいことがあるんだろうと察した。
だけど美穂は目を合わせたまま動かないし、潤んだ瞳で頬をバラ色に染めていく。
なんだろう、と思いながらも、その様子を見つめるうちに、彼女に意識されていることだけは伝わってきて―――俺まで顔に熱が集まった。
(どうしたんだろう)
頭の中で何度目かに思った時、彼女はぎゅっと目を閉じて、俺の腕を強く握った。
その行動を見て、彼女がなにをしたいのか―――「キスをしたい」と思ってくれたように感じて……。
握られた腕を通して、心臓を 鷲掴(わしづか)みにされたような気がした。
頭の中が数秒停止する。
その間、俺はただ好きな人の真っ赤な顔を―――閉じた彼女の*******
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