般若が冷笑を浮かべたまま、冥獣をさらに強化させる。冥獣はその力を倍増させて、まるで暴風のように周囲の空気を引き裂いていく。僕たちは一瞬立ち尽くすが、すぐにその力を受け止め、反撃の機会を狙う。
だが、般若の本当の力は、冥獣だけではない。
「私を舐めないで。」
般若の声が高らかに響いた。その瞬間、冥獣が一瞬動きを止め、周囲の空気が再び静寂に包まれる。そして、般若の手のひらが光を放った。彼女の能力は、使役魔獣だけにとどまらず、さらなる奥深い力を秘めているのだ。
その瞬間、僕の背筋が凍りつく感覚を覚えた。自分の体が重く、動けなくなる。冥獣の力に加え、今度は般若自身の能力が僕たちに襲い掛かってくる。
「貴様らは狩人に過ぎない。」
般若の声が、今度は響くように広がり、まるで空間そのものを支配するような力を感じさせた。彼女は、冥獣だけでなく、さらにその力を操り、僕たちの体を動かすことができるのだ。
そして、その中で、港が一歩前に出る。
「冥獣がどれほど強くとも…僕はそれに負けない。」
港の声は低く、力強かった。彼の周りから、まるで漠然としたオーラが広がり、彼自身の意志がしっかりと表れている。彼は普通の狩り手ではない。彼には特別な力がある。僕はそのことをよく知っていた。
「君の言う通り、僕たちはただの狩り手だ。」
僕もまた、港と同じように覚悟を決めた。般若の力に押し潰されることはない。たとえどんな力を使おうとも、僕たちはその狩りの中で生き抜くために戦うしかない。
そして、次の瞬間、港は冥獣に向かって斬撃を放った。その刃は、冥獣の防御をものともせずに切り裂く。冥獣が後退する一瞬、港はその隙間を突いて再度斬り込む。
「だが、それでも…」
般若の冷ややかな声が、空気の中でひときわ響いた。その瞬間、冥獣の力がさらに強くなり、港の攻撃を弾き返した。しかし、港はまるでそれを予見していたかのように、別の動きを見せる。彼は一瞬で次の技を繰り出し、その速さと鋭さに冥獣すらも一瞬動きを止めた。
「君たちの力を舐めないで。」
般若は呟くと、冥獣がさらに激しく暴れ出した。その力が今度は、直接僕たちの体に作用し、僕らを圧倒する。
だが、僕もまた、彼女の力を感じ取っていた。これまでの戦いの中で、何かが見えてきた。般若は単なる使役魔獣を操るだけの存在ではない。彼女の真の能力は、もっと深い場所にある。それは、人間の精神や心の奥底を操るような力だ。冥獣が強力である理由は、その力にある。
その瞬間、僕は閃いた。冥獣に打ち勝つ方法は、直接的な力ではなく、般若のその「心」を支配することだと。
「港!」
僕は港に向かって叫び、彼の動きを止める。そして、全力を尽くして般若に向かって突進する。その瞬間、僕の中で何かが弾けた。僕の能力が目覚め、冥獣の動きを予測し、彼女の本質に直接働きかけることができるような感覚に陥った。
「今だ…!」
僕が叫ぶと同時に、冥獣が一瞬動きを止め、僕の意識が般若の心の中に突入した。彼女の計算、高笑い、冷徹な意図。それらを一瞬で読み取った僕は、彼女の動きを制御するためにその力を使う。
そして、般若はその瞬間、目を見開いて驚愕の表情を浮かべた。冥獣の力はそのまま止まり、静けさが戻る。
「…どうして。」
般若の声は震えていた。冥獣の動きが止まり、彼女がその制御を失った瞬間、僕の中で確かな勝機を感じた。
コメント
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般若… なんだっけそれ(