テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
朝。
空は雲ひとつない快晴だった。
なのに、二人とも朝食の味をあまり覚えていない。
会話も少ない。
緊張していた。
今日は、半年の約束の日。
昼過ぎ。
二人は約束の場所である両家の実家へ向かった。
リビングには両親が揃っている。
「二人とも、お疲れ」
「半年、あっという間だったね」
照と辰哉は並んで座る。
向かいには親たち。
そして、テーブルの上には最初に交わした”半年の約束”が置かれていた。
辰哉のお父さんが口を開く。
「じゃあ聞こうか」
「二人の答えを」
部屋が静まり返る。
照は一度だけ辰哉を見る。
辰哉も照を見る。
目が合う。
照は小さく頷いた。
その頷きだけで、辰哉の緊張が少し和らぐ。
照が立ち上がる。
💛「俺から話します」
親たちの視線が集まる。
💛「最初は、この結婚に納得してませんでした」
💛「半年だけ我慢すればいいって思ってました」
照は一度息を吸う。
💛「でも」
💛「毎日一緒にご飯を食べて」
💛「毎日『おかえり』って言ってもらって」
💛「気付いたら」
💛「その生活が当たり前になってました」
照は隣の辰哉を見る。
💛「終わるのが嫌です」
💛「俺は……」
ほんの少しだけ笑う。
💛「辰哉と、これからも一緒にいたいです」
部屋が静かになる。
辰哉は目を丸くしていた。
照が。
こんなに真っ直ぐ気持ちを伝えてくれるなんて思っていなかった。
辰哉も立ち上がる。
💜「俺も」
声が少し震える。
💜「最初はほんとに嫌でした」
部屋に小さな笑いが起こる。
💜「でも」
💜「照って、不器用だけど優しくて」
💜「何も言わなくても隣にいてくれて」
💜「俺が笑ってると笑ってくれて」
💜「気付いたら」
辰哉は照だけを見る。
💜「仕事終わったら早く帰りたいって思う相手になってました」
少しだけ目に涙が浮かぶ。
💜「半年なんて全然足りなかった」
💜「これからも」
💜「照の『おかえり』が聞きたい」
照はもう我慢できなかった。
辰哉の手をそっと握る。
今度は人混みでも。
危ない時でもない。
自分の意思で。
💛「辰哉」
💜「うん」
💛「好きだ」
半年間、ずっと言えなかった言葉だった。
辰哉は少し笑って。
目尻に涙をためたまま答える。
💜「俺も」
💜「照が好き」
その瞬間。
部屋の空気がふっと軽くなった。
「やっと言った!」
「長かったねぇ」
「最初からこうなると思ってたよ」
両親たちは笑いながら拍手する。
💜「え?」
💛「は?」
辰哉のお母さんが笑いながら言う。
「だって、毎月様子聞いてたけど」
「話聞くたびに、お互いの話しかしてなかったもの」
照は顔を覆う。
💛「……恥ずかしい」
💜「全部ばれてた?」
「もちろん」
部屋中が笑いに包まれる。
────────
帰り道。
夕焼けの中を二人で歩く。
もう”期限”はない。
もう”半年だけ”でもない。
照が立ち止まる。
💛「辰哉」
💜「ん?」
💛「帰ろう」
💜「うん」
💛「俺たちの家に」
辰哉は嬉しそうに笑った。
💜「ただいまって言える家だね」
💛「ああ」
二人は自然と手を繋ぐ。
今度は、離さない。
半年だけのはずだった結婚。
それはいつしか。
一生を共に歩きたいと思える恋になっていた。
junp
2,250
絶対辰哉
268
#岩本照
絶対辰哉
3,054
3,449
コメント
6件
めちゃめちゃ甘くて切ないすっごく素敵な作品🥹1番求めてたタイプの物語が読めて最高でした😭展開と構成が天才すぎます!!!フォロー失礼します✨

よかったですぅ😭 気持ちをやっと伝えられて🥰 ご両親は早々に気づいていたんですね😚 これからも二人が一緒にいられて 毎日同じ家に帰ることができて 本当に幸せです💛💜
よかったぁー!