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「こんな可愛い男の子がいるなんて!信じられないよ!!」
と、思い切り頬擦りをしてくるのは、泣く子も黙るポートマフィアの首領、森鷗外。
「小さくて愛らしいのう~♡……其処の幼女趣味野郎には近付くでないぞ」
「紅葉君酷くない!?」
「事実じゃからのう」
そして、その隣で銀ちゃんを思い切り抱き締めているのは、ポートマフィアの幹部の一人、尾崎紅葉である。あっ、ちょっと待って森さん強い、頬擦りが。
完全に二人の世界に入ってしまった森さん達を見て、太宰さんと中也さんは私達に同情の眼差しを向けた。あの……助けてくれませんかね??
結局、二人が満足した頃には私と銀ちゃんは満身創痍になっていて、特に銀ちゃんは人見知りなのか、私の後ろに隠れている。
「却説、如何して急に二人を連れてくることになったんだい?」
さっきとはうって変わって、真面目なトーンで話し出す。太宰さんは森さんの変わりように軽く引いていた。
太宰さんが森さんと話している間、暇になってしまったので近くにいた中也さんに話し掛ける。
「中原さん…これから僕は如何なるのでしょうか」
「アア?…あー、そうだなァ、俺等が拾ってきたわけだし、どっちかの部下になるんじゃねェか?」
「そう、……ですか…」
「何か不満でもあんのか?」
「否……」
不満はあまりない。……思ったよりも早く拾われてしまって心の準備が出来ていないだけで。別に私は精神年齢が二十歳を超えてるから良いけど(良くはないが)、銀ちゃんはまだまだ幼い。そんな子に殺しの道を進ませるのは些か酷ではないか。だって私が今恐らく十三歳。ということは銀ちゃんは……十二より下だろう。
もし銀ちゃんにすぐに殺しをやらせるようなら、森さんにお願いしよう。せめて、後二、三年待ってください、と。教育に悪すぎる。そもそも貧民街も教育に悪いけどね。死体とかごろごろあったし。
お、太宰さんが戻ってくる。お話が終わったようだ。
「では、失礼します」
ペコリ、とお辞儀をする二人に習い、お辞儀をすると手を振ってくれたので、気恥ずかしかったが、素直に振り返しておいた。
「はあ………疲れた………」
心なしかぐったりしている。森さんとのお話で何かあったらしい。
「何を話していらっしゃったのですか?」
「嗚呼、君達の今後についてだよ」
────お?ということは、遂に訓練始まるのか?
ポートマフィアでの生活というだけで少し楽しみである。非日常というのがこんなにも楽しいなんて!と言っても、待っているのは地獄のような訓練と任務っていう、殺伐とした毎日だけどな!
「君は、僕の直属の部下になる。未だ僕は幹部じゃないから、直属の部下には本来できないのだけれどね。外部から連れてきた君達の立場はとても弱いから、特別に了承を貰ったよ」
「そして銀ちゃんは、姐さん────尾崎幹部の直属の部下、ということになった。暫くは訓練や任務はないけど、二ヶ月後位からやって貰うよ」
「任務も、二ヶ月後から、ですか………?」
「ん?嗚呼、まあ訓練次第だけど………」
「少し、出掛けてきます」
そう言って、私は駆け出した。
────流石に二ヶ月後は早い。
さっきも見た扉をノックする。入室の許可を貰い、早足に森さんへ駆け寄った。
「首領」
「何かな?芥川君」
「銀は未だ幼く、任務に行くには早いと思われます。銀の分の任務は僕がやります故、どうか……。後三年は待って下さりませぬか」
「ふふ、本当に君達兄妹は仲が善いねえ。……判った、善いよ。最初の内はそんなに難しい任務も無いだろうしね」
「!有難う御座います」
「はあ……何処へ行くかと思ったら……。勝手に行動しないで呉れる?」
少し上からの冷たい声。太宰さんだ。怒っていらっしゃる。あー終わった。
「すみませぬ……」
「……、善いよ。もう話は終わったね?帰るよ芥川君」
「じゃあ、私達は此れで」
かつかつと太宰さんの靴音が廊下に響く。足が長く、早足で歩いているため、腕を引っ張られている私はすごく歩き辛い。怒らせたのは私だが。
「妹が心配なのは判るけどね、」
「君だって此れから大変なんだよ?ちゃんと判ってる?」
「………はい」
「覚えることも沢山有るだろうし、異能力の訓練もあるし」
「全て、承知の上です」
「………僕は手を抜かないよ。任務で失敗しても容赦はしない」
「覚悟はあるかい?」
「はい、太宰さん。此の命、ポートマフィアに捧げます」
死んだら意味ないでしょ、と強めにどつかれた。解せぬ。