テラーノベル
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香帆のリビングには、茶色のソファーがある。
夫婦で座れるように大きめを買ったが、いつも颯真が一人占めしていた。
そのソファーに颯真が座っている。
死んだのに? 火葬も終えたのに?
「!? !? !? !?」
人は驚き過ぎると『二の句が継げない』というが、いまの香帆は息もできない。
無呼吸状態で、ソファーに座る颯真を見た。
夢? 幻?
息が止まって顔色が悪くなる香帆に、颯真が説明した。
「幽霊や」
「ゆうれい???」
幽霊は、青白い顔でフワフワと浮いてるイメージだ。
だが……、
「足、あるじゃない。靴まで履いてるし」
「そこかい。令和の幽霊は足があるんや」
「顔は赤いし」
「怒ってるからや」
(あ、バレてる)
そうだよね。わざわざ化けて出るくらいだもの。
呪われるかもしれないし。とりあえず謝った方がいい。
「殺しちゃって、ごめんなさい」
「軽いなぁ」
「でも、悪いのは浮気した颯真でしょ」
「えっ? バレてたん?」
「あたりまえでしょ。私がどれほど悩んだか」
「そこは悪かった。けどホンマに悪いんは、」
「だから、ごめんなさい! 殺してごめんなさい!!」
「ちゃう。俺を殺したんは、香帆とちゃうんや」
え? 違う?
「私じゃない??」
「実はな、」
颯真は死んでからのこと、を話し始めた。
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