テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
「すれちがい」
注意 🦍社二次創作 ifルート
Chapter1「ooharaMEN」
目が覚めて、ハッと起き上がる。
実家の天井、懐かしいベット。
俺は最近、何をしたっけ?誰と会ったっけ?そもそも何処にいたっけ?
カレンダーは、2019年の3月を示していた。
明らかに何かが欠けている。何を忘れた?何を失った?
もうすぐ大学4年生か。
カレンダーを見て、そう思った。
それなら、国家公務員採用試験もある。
民間の内定は一応ある。
採用試験の勉強内容も、しっかりと覚えている。
それなら俺は、何を忘れた?
そんな時、電話が掛かってきた。見てみると、発信元はきおきお。
「もしもし〜?」
「あ、おおはら、最近忙しい?というか元気か?」
「心配させてすまねぇ、ほら、もうすぐ4年じゃないですかぁ?公務員試験もあるから忙しくてさ。」
「そっか、そういえばそうだよな。また余裕できたら家来て手伝ってよ〜」
「おん、じゃあな〜」
そう言って、電話を切った。
そういえば最近手伝いに行けてないな。
まぁ、俺は就職活動がある。きおきおだって、卒論があるだろう。
朝起きた時の違和感は、きっと寝ぼけていたから感じたのだろう。
俺は、部屋を出た。
結局、あのよくわからない違和感は、あれ以降感じていない。
きっと、気のせいだったんだ。
何も考えずに、大学生として頑張っていた。
国家公務員試験はひとまず内定をもらい、乗り越えた。卒論も順調だ。
このまま突っ走れば、来年からは晴れて社会人だ。
久々に、きおきおの家に向かうことにした。
「おっすおおはら、内定おめでとう〜‼︎」
「ありがとう、そっちもこれから頑張れよ。」
「そんじゃ、今日は久々に裏方、やりますかねぇ〜」
きおきおは、ひとりでYouTubeをやっている。
俺は専ら撮影、編集などの裏方をやっている。偶に出演することはあるが、レギュラーとして出演するつもりはないし、別にそれで問題はない。
きおきおの撮影を見守り、手伝う。その作業はとても楽しかった。
結局、大学4年はあっという間だった。
俺は今年の春から社会人、公務員になる。
心の中の違和感も、消えていた。
何かを忘れたまま、国家公務員になって…
当たり前の、「大人」になった。
なんやかんやいって、就職してから2年の月日が経った。
コロナウイルスの蔓延で、国家公務員はバタバタになった。国家を支え、守る為とはわかっているが、他の人が言うには、これまでより働く時間は更に増えているらしい。
「おおはらさん、こっちの資料もお願いします」
「わかりました、やっておきます」
この後は資料を作って、会議に同行して、メールやメッセージを送って…現場を視察しに行かないと…
毎日がとても忙しい。
朝早くに出勤し、夜遅くに帰る毎日。
生活リズムは最悪だが、将来が担保されて、やりがいがある。
毎日毎日働いて、働いて。
それが良くあっている、そんな気がする。
「あ゛〜…疲れたぁ…」
毎日ベッドに倒れ、そのまま寝落ちする。
そのくらい、毎日が忙しい。
最近、何故か違和感を感じる。
身体ではなく、頭が。
何かをやはり忘れている。それも、大切なものを。
今日は珍しく残業がなかったので、 久しぶりに大型家電量販店のゲームエリアを見ている。
新作ゲームのカセット手に取り、裏に書かれた文字を見る。
隣では、身長が低くて深い青緑色の髪で、 眼鏡を掛けた男の子もカセットを見ている。
その子は電話が掛かってきたらしく、少し離れたところで電話に出ている。
「あ…もしもし?」
その声を聴いた時、何かを思い出した気がした。
「ぁ…ごめん、明日は大学の講義入ってるから…うん、必修コマで」
あの子は大学生なのか。身長が小さくて、中学生位に見えた。
「うん、うん、本当にごめん、また今度遊ぼうね、ばいばい〜」
そう言って、君は電話を切った。
小さく溜息をついて、またカセットを見にきた。
他のカセットを手に取ろうとした時、君と身体が軽くぶつかった。
「あ…すみません、大丈夫ですか?」
そう謝ると、君は少しだけ目を見開いて、
「いえいえ、大丈夫なので気にしないでください」
と答えて、そのままエスカレーターの方へ行ってしまった。
「men〜」
そんな声が、頭の中で蘇った。
誰だっけ、あの声の主は。
Chapter1「ooharaMEN」fin
next→Chapter2「Oraf-Kun」