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怜は、結局、最後まで来なかった。連絡もせずに。家に行ってみようかな?さすがに自分の家に帰ってからだけど。
家に帰る。手紙が来てる。
『早苗へ』
と、書かれている。いったい、誰が…っ!怜…。手紙を読む…私はすぐに、家を飛び出した。
怜…どこ?どこにいるの?見つけないと…早く!手紙に、書かれていた。
『早苗、ありがとう。そして、ごめん。俺はまだ、君に言ってないことがある。実は、家族に暴力を振るわれているんだ。毎日。いつからなのか、分からないけれど。もう、ここにいたくない。生きていたら、また暴力を振るわれる。だから…ごめん。さよなら。早苗。』
家庭内暴力…生きているのが、辛いほどにまで、心は傷ついていたんだ…止めないと。早く、見つけないと。怜!
…それから、どれくらい経っただろうか。辺りが暗くなり始め、日没まであと少し。あと探していないのは…あ…ある。あそこだ。きっと、あの場所にいる。待ってて。怜。
そこは、崖の上。危ないから、人は近づかない。
「怜!」
見つけた…やっと。
「早苗…どうして…」
「あんな手紙を読んだら、探さざるをえないよ。」
「そうか。」
「ねえ、怜、そこは、危ないから…」
「早苗。もう、決めたから。」
「ダメ!どうしてもって言うなら、私も…」
「本気か?」
「本気。」
「………ああ…分かったよ。こっちに来い。早苗。」
え?まさか…本当に…
「もう少しだ………」
「何が?」
「ほら。」
目に飛び込んで来たのは、空が全て、赤く染まっている光景だった。それは、幻想的で、この世のものとは思えないほどのものだった——-。
「帰るか。」
「そうだね。」
あれ?何か、忘れているような………気のせいかな。
それから、4日後。
「おはよう。怜。」
「おはよ。」
「調子は?」
「いつも通り。」
「また……」
「早苗、今日は楽しそうだな。」
「そう?」
「偽物じゃない、本物の笑顔だ。」
「そうだね。ちょっとだけ、吹っ切れたんだ。」
「そうか。」
そう。健人君の夢を見なくなった。もう、戻って来ない過去よりも、今を、大切にしたいから。
私は、新しい1歩を踏み出すことができた。きっと、怜のおかげ。私の話を最後まで聞き、そばにいてくれたから、今を、大切にしたいと思えたんだ。