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次の日の朝。
悠真は教室に入ると、いつものように自分の席へ向かった。
――でも、今日はいつもと違う。
昨日、湊と付き合った。
そのことを思い出しただけで、顔が熱くなる。
「……やば」
「何が?」
「うわっ!」
突然、後ろから声がして、悠真は飛び上がった。
「湊!?」
「そんな驚く?」
「だって……」
昨日までなら普通に話せた。
普通に隣に座れた。
普通に一緒に帰れた。
なのに今日は――
「……おはよ」
「お、おはよ」
二人とも妙にぎこちない。
湊が悠真の隣の席に座る。
「……」
「……」
沈黙。
「なんか言えよ」
「湊こそ!」
「昨日まで普通だっただろ」
「昨日から恋人になったから無理!」
思わず口にしてしまって、悠真は慌てて口を押さえた。
「……」
湊も固まる。
「……恋人」
「言うな!」
「自分で言っただろ」
「忘れて!」
湊が小さく笑った。
「無理」
「もう……」
悠真は恥ずかしくなって机に顔を伏せた。
すると湊が、机越しに小さな声で言う。
「……俺は嬉しいけど」
「……え?」
「悠真と付き合えて」
悠真は顔を上げる。
「……俺も」
二人で見つめ合って、同時に照れて目をそらした。
その様子を見ていた友達が近づいてくる。
「……お前らさ」
「な、何?」
「昨日から距離感おかしくない?」
「そ、そう?」
「めっちゃ変」
湊がすぐに答える。
「気のせい」
「絶対気のせいじゃないだろ」
友達は二人をじーっと見る。
悠真は慌てて湊から少し離れる。
すると湊が、
「……なんで離れるの」
「だってバレる!」
「何が?」
「……!」
悠真は何も言えなくなった。
友達が目を細める。
「……え、まさか」
「違う!」
二人がまた同時に叫ぶ。
「怪しいなー」
友達が笑いながら去っていく。
二人は顔を見合わせた。
「……危なかった」
「うん」
「でもさ」
湊が少し笑う。
「別にバレてもよくない?」
「え?」
「俺たちが付き合ってること」
悠真は少し考えてから、照れくさそうに笑った。
「……まあ、湊と一緒なら」
「何それ」
「何って?」
「かわいい」
「……!」
悠真の顔が一気に赤くなる。
「そういうの急に言うなよ!」
「恋人だからいいだろ」
「……ずるい」
チャイムが鳴る。
二人はそれぞれ自分の席に戻った。
だけど――
昨日までとは、ほんの少し違う。
目が合うだけで嬉しい。
名前を呼ばれるだけで照れる。
そして何より、
「恋人」という関係が、二人にとって少しずつ特別になっていった。
コメント
1件
沙良さん、第11話読みました! 付き合った翌朝のあの絶妙な気まずさと照れ、すごくリアルで胸がきゅんとしました。机越しの「俺は嬉しいけど」って湊のささやきに持っていかれました。バレるかも!って慌てる二人も可愛すぎて…。最後の「目が合うだけで嬉しい」って一文、すごく好きです。ゆっくり変わっていく距離感、これからも楽しみにしてますね🌷
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