第22話:永遠の約束
夏の終わり、夕暮れ時。海辺に広がる茜色の空に、わずかに残る光が反射して、波がきらきらと輝いている。俺たちは、あの駅から数年が過ぎた今も、こうして手をつないでいる。
「悠斗、覚えてる?」
澪が、穏やかな声で僕を呼ぶ。空を見上げるその瞳は、あの桜の花が舞う春の時と同じくらい、どこか優しく、遠くを見つめているようだった。
「うん、覚えてるよ。あの時、手をつないだ瞬間、なんだかすごく安心したんだ」
あの春、俺たちが交わした「二人で、よろしく」という言葉。それからの日々、どんな困難があっても、笑顔と涙を共有してきた。それが、今ではこんなにも自然なことになっている。
澪は静かに頷き、やわらかな笑みを浮かべた。「あの時、私たちが約束したこと、もうずっと守ってきたよね」
「うん。どんな時も、一緒にいるって決めたからね」
言葉を交わすたびに、その重みを感じる。どんなに時が流れ、環境が変わっても、二人の絆は決して薄れることがなかった。
もうすぐ、秋がやってくる。あの駅から始まった物語は、今もこうして続いている。遠距離も、辛い日々も、全部が二人をより強く結びつけた。すれ違った時間を、今の僕たちは大切にしている。
「悠斗、これから先、どんな未来が待っていても、私はずっと一緒にいたい」
澪がしっかりと僕の目を見つめて言う。彼女の言葉に、胸がいっぱいになる。
「もちろん。これからもずっと、君と一緒だよ」
言葉には力強さを込めて答えた。澪の手をもう一度、ぎゅっと握りしめる。
「ねぇ、悠斗…これからもずっと、二人で笑っていられるかな?」
澪の声が少し震える。でも、それは不安からではなく、純粋にこの先もずっと続く幸せを願う気持ちからだった。
「もちろんだよ。どんな時も、君となら大丈夫だ」
そう言いながら、俺は心からの笑顔を浮かべる。それを見て、澪もにっこりと笑った。
その笑顔が、僕にとってのすべてだった。未来に不安を感じることもあるけれど、今、こうして一緒にいることが何よりも確かだ。どんな困難も、二人で乗り越えられる。手をつなぎ合ったその先には、必ず幸せが待っていると信じているから。
「じゃあ、これからもずっと、よろしくね」
僕たちは同時にその言葉を口にした。それは、あの春の日からずっと続いてきた、二人の約束。未来がどうなるかは分からないけれど、この約束だけは変わらない。
茜色の空の下で、澪と僕は、永遠に続く物語の一ページをめくるように、歩き続けるのだった。






