テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
野々さくら
990
#ラブコメ
猫塚ルイ

752
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
惚気混じりの思考で、ついじっと見蕩れていると、不意に彼の切れ長の瞳がこちらを捉えた。
バチッと目が合ってしまい、俺は心臓を跳ね上がらせて慌てて斜め下へと目を逸らす。
するとその途端
「なあ」
と、低く掠れた圭ちゃんの声が耳元に届いた。
いつの間にか対面から移動してきた彼が、俺のすぐ真後ろ
背後から覆い被さるようにして顔を近づけていたのだ。
耳のすぐ傍で、さらにトーンを落とした低い声が鼓膜を揺らす。
「そんなジロジロ見て、なんか期待してんのか?」
「ふぇ…っ、!?け、圭ちゃんっ、急に近付かないでよ……っ」
あまりの至近距離に背筋がゾクゾクとして、俺は飛び起きるようにして彼を振り返った。
圭ちゃんの顔を見るだけでも、胸の奥を見透かされているような気がして心臓が保たない。
「なんだよ、いつもと変わんねぇだろ」
面白がるように目を細める圭ちゃんに、俺は消え入りそうな声で抗議する。
「だ、だって圭ちゃんがなんか…えっち、だから…」
「へー、エロい目で見てんだ?」
「なっ!違っ…」
「えっちしたいってこの前言ってたもんな?」
「うっ……そ、それは…っ、そう、です…」
顔からぶわっと湯気が出そうなほど恥ずかしさを感じながら
観念してコクンと首を縦に振ると、圭ちゃんはフッと満足そうに、意地悪く笑った。
「さっきから初めて彼氏の家来た彼女みてぇにソワソワしてたもんな」
ギクッ!という効果音が、体から鳴ったかと思うほど的確な指摘だった。
図星を突かれた気まずさと、からかわれた悔しさが混ざり合い、俺の心の中で何かが弾ける。
「だ、だって!圭ちゃんがあんなとこで、急にキスしてきて…っ、その上週末にお泊まり誘われて…親もいないとか…っ」
一気に捲し立てるうちに、感情が高ぶって視界が潤んでくる。
「そ、そういうのあるのかなって、期待しちゃうよ…!」
体が完全に硬直しているのを感じ
真っ赤に染まった顔を隠すことも忘れてムキになって反論すると
圭ちゃんは一瞬呆気にとられた後、少し困ったように後頭部を掻いた。
「……そういうのって?」
まだ意地悪を続けようとする彼に、俺は言葉を詰まらせる。
「…っ、キスとか…それ以上、も……」
これ以上言わせないでほしい。
恥ずかしさに耐えかねてギュッと目を瞑り、俯いた瞬間──
視界が遮られた。
不意に、圭ちゃんの大きな手が俺の頬へと伸びてきて
拒む隙も与えずにグイッと上を向かされる。
「え、けいちゃ──んっ…ぅ」
名前を呼び切る前に、強引に唇が塞がれた。
熱い唇が重なり、驚きでわずかに開いた隙間から、ぬるりと熱い舌が侵入してくる。
その生々しい感触に、俺の背骨を電流が走ったような激しい身震いが襲った。
「ふ、ぁ……っ」