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柔らかい髪が膝をくすぐり、煌は一瞬顔を顰める。
「……温かいな。……お主の熱は、わしの火を焼かぬ。ただ、静めてくれる……」
「……当たり前だろ。俺は人間なんだから。お前みたいに年中燃えてねーんだわ。つか、くすぐったいって」
「そうか?」
膝枕が気に入ったのか、朱雀は更に深く身を寄せてくる。何度も頭の位置を微調整するのは、ちょうどいい場所を探しているのか、それとも煌がくすぐったがるのを確信犯的に楽しんでいるのか。
気持ちよさそうに目を細めながら、微かに喉を鳴らして笑っている様子は、さっきまでの「死にかけの神様」とはまるで別人のようだ。 むしろ、日向で丸くなる巨大な猫か何かに見えてくる。
「たく……少しは元気になったみたいだな」
苦笑しつつ手を伸ばし、朱雀の乱れた前髪を漉いた。滑らかな感触に触れているとなんだかむず痒いような気持になってくる。
そっと頭を撫でていると、ふいに腰に手が回った。
「ぅわっ!?」
いきなりだったから、思わず変な声を上げてしまった。飛び上がりそうになった煌を見て、朱雀は我慢できないと言った風で小さく笑った。
「てめっ、笑ってんじゃねぇよ! いきなり抱きついてくんじゃねーっつーの!」
「ふ……。お主があまりに無防備に撫でるのがいけないのだ。こうして捕まえておかなければ、どこかへ消えてしまいそうでな」
朱雀は腕の力を緩めるどころか、さらに深く顔を煌の腹に押し当て、その温もりを独占するように抱きしめた。
「たく、……消えねぇよ。お前が寝るまでは、付き合ってやるって言っただろ」
煌は呆れ半分で、それでも突き放すことはできずに、朱雀の背中にそっと手を置いた。
「そうだったな。どうせなら添い寝してくれたらもっといいのだが」
「あ? 調子乗ってんじゃねぇぞコラ。随分復活したみたいじゃねぇか?」
煌はわざとらしく眉を吊り上げ、膝の上の頭を軽く小突いた。だが、朱雀は退くどころか、その腕にぐいと力を込め、煌の腰を自分の胸元へと引き寄せる。
「ふ……。お主の温もりが心地よくてな。身体は楽になったが、心がまだお主を求めて止まぬのだ」
「……っ、そういう恥ずかしい台詞をサラッと言うんじゃねぇよ!」
「わしは事実を述べたまでだ。何を恥ずかしがる必要がある?」
朱雀は事もなげに言い放ち、煌の腰を抱く腕にさらに力を込めた。薄衣越しに伝わるその心音は、依然として早鐘のように打ち鳴らされている。