…今日も誰かが話しかけてくる。何時からだっけ、そういえばここは何処だろう。話しかけられるけど、返す気力は無い。そもそも返せない話せない。今日は紫の人が話しかけている。泣いている。また何かをしようって嘆いてる…そういえば話せないと気づいたのは何時だっけ?確か黒い人が来て話しかけてて分からないけどなぜか返事をしなくちゃってなって話そうとしたら出来なくて、掠れた声すらも出なかった。追いかけようとして動けなくて、手だけでも伸ばそうとしてもそれすら出来なくて、悲しくて寂しかった。悲しくてなきたかった。なのに泣けなかった。泣けなくて嗚咽すら無理だった。あれからずっと黒い人は来ていない。いつ来るのかな。また来てよ。
今日は赤い人が来た。何時もより何を言っているのか聞き取りにくくなっている。今日はいつもより体がふわふわとする。視界がぼやける。だんだんと赤が霞んで行く。
『ぁ、う』
段々と霞んで行くので目眩がし吐きそうになり口を抑える
あれ、今、俺….手を動かした?なんで?…それに今、声を….どうして?
まぁいいや
分かったことはこの部屋からは出れないけど部屋の中なら歩き回れる。喋れるのは単語だけ。長文を話すことは出来ない。別に話さないけど
少し歩けるようになってからは日に日に歩き回れる範囲が広がって行った。それと同時に喋れる長さも増えていった。他にも最初自分がいた部屋から離れれば離れるほど感情が高ぶることに気づいた。代わりに”アイツら”の声が段々と聞こえにくくなって行った。そして姿も見えにくくなって行った
「まだ間に合う」
今は最初の部屋からは結構離れた場所に居る
『んふww』
何故だろう
1歩また1歩と離れる度自由になれる気がするそんな感情が増えていく。それと同時に悲しくて寂しいという感情も増えていく
ここの廊下は長い
ここを通ると寂しくなる。でも懐かしい気がして少し嬉しい。色んな感情がある。押し潰されそうなくらいに。
起きれば最初の部屋に居る。直ぐに部屋を出て離れる。もう黒い人は来ない。そう思いずっと歩いている。ずっと。オワリが来るまで
「引き返せ」
今日も起きた。何時からだろうか。完全にみんなの声が聞こえなくなったのは
紫色と橙色
もう色しか分からない
「____!」
「____….」
あぁ。可哀想に。泣いているじゃないか
『でも知ったこっちゃない』
“アイツら”は他人だそんなの気にしていたらダメだ早く、早く離れよう。
「帰って来い」
毎日歩いて。歩いて。歩いた
もうすぐでオワリがくる
走って
オワリまで
直行する
……?
誰かに腕を引っ張られている
『うざい』
「____」
あれ?誰だっけ
目の前には黒い人が居る
「ゾム」
ゾム?誰のこと?もしかして俺?
「引き返せ」
ビクッ
低い声
でも落ち着く
「戻ろう」
そう言われ俺は手を引かれる
『…..』
今見ると俺の手を引いてる人…黒い人は顔立ちが整っている。
長かった廊下は今もう歩き終わった
あとは部屋に入るだけ
ガチャ
部屋に入る
「ゾム」
『?』
多分自分なんだろうなぁ、と思い反応する
「おやすみ」
優しい声包まれるように暖かい
『ん、おやすみ』
義務かの様に返事を返す
ゆっくりと闇へ堕ちる
『ん、』
暖かい光が差し込む
「ッ!」
『グルッペン?』
起きたら目の前にはグルッペンが居た。
グルッペンは泣いていた。大粒の涙を流して。
「遅いゾッ!」
?
どう言うことだ?遅い?全く理解が出来ない
『な、なぁ?』
「なんだッ?」
『なんで泣いとるん?』
「なんでって……」
“ゾムが1年も寝ていたからだゾ!”
『は、?』
1年?どう言う事や?ドッキリ?
『ど、ドッキリやろ?』
「そんな訳ない!」
『…..そんなにねてたんかぁw』
『ごめんな?グルッペン』
「許さん」
『なんでやぁ、』
『…wまぁええわ。今更って感じやけど、おはようグルッペン』
「あぁ、おはようなんだゾ!」