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魔界の住人である老人悪魔のモルフェは「暁商店(あかつきしょうてん)」という小さな商店で働いてる。商店にやってきた小さな若い雑種の犬の悪魔は
「いつもので!」
と得意げに頼んだ。モルフェは首を傾げて
「おじいさんの間違いだったらすまないけど、坊や、このお店初めて来たんじゃないかな?」
と尋ねた。その悪魔も首を傾げて
「そうだけど・・・?」
と答えた。モルフェは優しい声で
「あのね、坊や。いつもので、っていうのは、いっぱいお店に来た「じょうれんさん」がやるんだよ。初めて来たお客さんじゃ、いつものがなんなのかわからないからね」
と言うとその悪魔は驚いた様子で
「そ、そうなの!?てっきり、言えば出てくるものかと・・・」
と言った。モルフェは笑顔で尋ねた。
「それより坊や、今日はお使い(おつかい)かい?」
「うん!そうなんだ!お母さんに頼まれて一人でここまで来たの!」
とニコニコしながら言った。モルフェは感心した様子で
「へぇ。ここまで一人で・・・。すごいねぇ、坊や。お使い偉いなぁ!」
と悪魔の頭を撫でた。悪魔は尻尾を振って喜び、
「えへへ!ありがとう!僕ね、フィフェルス・コッタイル!また来るね!おじいちゃん!」
と言って買い物して帰っていった。
もうすぐ閉店しそうなケーキ屋さんがあった。「レティナントケーキ」というお店だ。店長の若い堕天使パティシエのレティナントが始めたケーキ屋さんだった。お客さんが少なく、赤字続きでお店を畳もうと考えているところっだった。フィフェルスはお店の前を通りかかるとほのかにする香ばしい匂いに反応して、お店の中に入った。レティナントは考え事をしている最中だったが、入口の扉の鈴の音がなってお客さんが来たことに気づいた。レティナントは振り返って
「いらっしゃいませ!」
と声をかけた。フィフェルスは目をキラキラ輝かせて
「ここのケーキ、全部おにーさんが作ったやつ?!めっちゃ美味しそう!」
と言った。レティナントは久しぶりにお客さんから褒められて嬉しかった。レティナントはちょっと残念そうにしながら
「坊や、あと数日したらお店を閉めちゃうんだ。だから、よかったらこの数日の間にまた食べに来て」
と言った。フィフェルスは悲しそうにして
「そうなんだ・・・。それじゃあ、今のうちに食べとかなきゃね!キャラメリゼナッツケーキ一つと、ホットミルク一つ!」
と頼んだ。レティナントがキャラメリゼナッツケーキとホットミルクを出すとフィフェルスは目を輝かせ、尻尾をブンブン振って
「わぁっ!まるで宝石みたいにキラキラしてる!」
と喜んで食べた。口に入れた瞬間にフィフェルスは驚いた顔をして
「すごく美味しい!想像よりもずっと!おにーさん、お店辞めちゃったらもったいないよ!みんなに食べてもらわなきゃもったいないよ!」
と言った。レティナントは嬉しかったが、「お客さんが少ないし、このまま赤字になったら・・・」と心配していた。フィフェルスは会計を済ませると笑顔で
「ありがとう、おにーさん!ケーキ美味しかったよ!また戻って来るからちょっとまってて」
と言ってコンビニのある方向へ走っていった。
10分するとお店の方へダッシュで帰ってきた。フィフェルスはたくさんの紙の束を持って息切れしながら
「お、おにーさん!これ、僕がみんなに配って宣伝するんだ・・・!」
と言った。レティナントは驚いたが、内心すごく喜んでいた。その後、仕事の休憩時間が来たのでレティナントはコーヒーを飲んで休憩していた。気づけばフィフェルスはお店の前に立って大きな声で、笑顔で、
「みなさーん!甘いものいかがですか〜?ケーキいかがですか〜?すごく美味しいですよ〜!コーヒーでホット一息いかがですか〜!」
と声掛けしていた。そのおかげであっという間にたくさんのお客さんがレティナントケーキにやってきた。さっきまで特に仕事もなかったのが嘘だったかのように。レティナントは忙しかったが、お客さんの一人ひとりが「美味しい」と言ってくれているのが聞こえてくるとすごく嬉しかった。お礼をしようと思ってフィフェルスの方を向くと
「あ、ごめんなさい、もうすぐ門限だから帰るねっ!」
と急いでお店を出ていった。お礼も言えなかったが・・・赤字解消できてお店は続行。また来てくれるといいな_______。