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業界のことは何も知らない素人が書いてますので大目に見てください。
架空のマネさん目線
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彼は言わない。
その笑顔で、穏やかな雰囲気で隠し続ける。
それは彼本来の性格からくるものなのか、彼がこの芸能界に居続けるために培った術なのかは分からない。
でも彼は彼なりに考えた上で、自分だけで抱えこみ、自分なりに消費するまで隠し続ける。
フェーズ2が始動し、しばらく経った頃メンバー各々にソロの仕事が入るようになりマネージャーを個々につけるようになった。
制作もあり、一番スケジューリングが大変な大森さんにはチーフが、若井さんにはチーフの下についていた自分が、そして比較的ソロ活動が少なかった藤澤さんには新人マネージャーが着くことに決まった。
新人くんは、この業界に憧れてた子で、猪突猛進な部分もありながらも若手らしく、周囲に可愛がられるタイプであり、藤澤さんとの相性も良さそうだった。
彼らのソロの仕事は基本的にプロデューサーである大森さんの許可が必要だ。
それはそのときのミセスの曲の世界観を体現できるようビジュアル等含めイメージに沿う必要があり、メンバー含め事務所の人間も全員が理解していた絶対的なルールだった。
ある日のこと、その日はRECでメンバー全員が一日スタジオだったので僕たちマネージャーはチーフ以外、事務所で事務仕事をしていた。
仕事が落ち着き、休憩スペースで休んでいたとき、新人が肩を落として歩いてきた。
『どうした?なんか落ち込んでるけど』
新人「大森さんに藤澤さんのソロ仕事を打診したんですけど、ダメでした。」
『あー、まぁそういう日もあるよ。俺もこの間若井さんのテレビ仕事持っていったけど断られたし』
新「若井さんはまだいいじゃないですか、新たにMCの仕事も決まったって聞きました。大森さんだってソロの仕事入ってるのに、藤澤さんだけたまに単発の仕事があるくらいで、ずっと何もしてないんですよ!?」
『何もしてないわけないだろ。そもそも楽曲制作があるし』
新「作っているのは大森さんで、藤澤さんはそれを聞いて演奏するだけじゃないですか。あとはたまにFCの仕事しているだけです。」
『演奏するだけって…。お前、それがどんだけ大変なことか。藤澤さんに失礼だぞ』
新「すみません…でも、悔しいんです。藤澤さんも需要があるのに、グループ活動しか出来ないのが!もっとあの人を輝かせたいんです!」
『その気持ちは大事だけどな。まぁ大森さんたちにも考えがあってのことだから。そこは忘れるなよ。』
新「…はい。お疲れさまでした。」
『お疲れさま。はぁ、あれは納得してないな』
その後、チーフが事務所に戻ってきた。
チーフ「おぉ、お疲れ。」
『お疲れさまです。スタジオいなくていいんですか?』
チ「詰めるところは詰めてきたからな。あとは完全に曲のことだけだし一旦こっちに戻ってきた。」
『そうなんですね』
チ「なんかあったか?浮かない顔してるけど」
『いや、さっき新人に会ったんですけど、だいぶ落ち込んでて』
チ「あー、元貴に仕事断られてたもんな」
『そんな変な仕事だったんですか?』
チ「いや、時期が悪かったんだよ。RECの最中というかバンド活動が集中しているところに入れてた」
『あの時期に入れてたんですか⁉︎それはダメでしょ。若井さんですらバンド活動以外基本入れていないのに』
チ「スケジュール的にソロ活動入れることができるように見えたんだろ。実際合間の休みの日に入れてたからな。でも、あいつらの根幹であるライブ制作にも関わる時期だからな。新人にはまだ言ってないけど、何曲か新曲もできたらしいから、その譜面起こししながら、ライブのアレンジ考えて、MVも撮ってってなったら藤澤がきつい。新曲もデモ的に藤澤のパートが多かったしな。それにビジュアルを整えるのも大切な仕事の一つだから、疎かにしたくないだろ。元貴が描く世界観を表現するためにもそこは大切にしてやりたいし、していかないといけない部分だと思ってる。」
『それ、新人にも言いました?』
チ「その後、俺も席外したから元貴が説明したのかは知らないな。RECの合間だったから全部の説明はしてないかもしれん」
『その確率高いですね。さっき会った感じ、断られたの、あいつ納得してないです』
チ「まぁそこは飲み込んでもらうしかないな。ソロの仕事は元貴の許可ありきだ。」
『そうなんですけどね』
チ「明日からまた俺も元貴の撮影同行するから、お前からも説明しておいてくれ」
『わかりました』
その後、各々のソロ活動も忙しく新人と話す暇もなく過ぎていった。
ーーーーーーー
今日はFC動画の撮影日。
わちゃわちゃと楽しそうな撮影の様子をスタジオの後ろのほうで見守る。そこに顔面蒼白気味な新人がやってきた。
新「先輩、どうしましょう…」
『どうした?顔色悪いけど」
新「あの、藤澤さんにって入ってた仕事があって」
『あぁ、許可降りなかったってやつ?』
新「はい、」
『それがどうした?断ったんだろ?』
新「それが、お断りの連絡するのを忘れてて、撮影が明後日って連絡がきてたのに今気づいて」
『はぁ!?明後日!?ちなみに集合時間は?」
新「朝7時です。どうしましょう…」
『それは申し訳ないけど断るしかないだろ。明日地方で撮影だぞ?』
新「そうなんですけど。でも、これ、是非藤澤さんにってきた仕事で…」
『だからって明日の終了予定時間、夜だから泊まり込みだろ。仮に終電で帰ったとして、ほぼ眠らずに仕事行くことになる』
新「そうなんですけど、でも… 」
藤「どうかしたの?」
新「藤澤さん!」
2人で話し合ってると丁度リハーサルを終えたミセスの3人がやってきた。
大「なんか揉め事でもあった?」
若「慌ててるようだけど」
『いや、別に、「実は!藤澤さんにソロの仕事が入ったんですけど、僕のミスで断るのを忘れてまして」おい!』
藤「ありゃりゃ」
新「本当にすみません!!」
大「今から断れないの?」
新「撮影日が近くて」
若「いつ撮影なの?」
『…明後日です』
若「うそでしょ!?」
大「無理でしょ。明日も撮影だよ」
新「そうなんですけど…」
藤「…断りづらいよね。集合時間は何時?」
新「7時です」
藤「なんだ、明日終電で帰ればいけそうだね」
大「明日終わるの夜遅いんだよ?終電で帰ったとして、家着いてまた準備してってなったら涼ちゃん休む時間ないじゃん」
藤「でも、今更断れないでしょ。せっかく僕に声をかけてくださったのに。断ったら今後のミセスの仕事にも響くかもしれないし」
若「それはそうだけど…」
藤「こっちのミスなんだから先方に迷惑はかけられないよ。信用なんて簡単に失うしね。
マネさん、明後日行くからよろしくね」
大「涼ちゃん!」
藤「明日の撮影の合間とかにも休むから大丈夫だよ。このなかで一番持久力あるのは知ってるでしょ」
新「ありがとうございます!」
『こちらのミスで、本当にすみません!』
大「次からはないようにしてね」
「はい!」
渋る大森さん、若井さんを藤澤さんが宥めてくれ、強行スケジュールのなか藤澤さんは仕事を完璧にこなし、事なきを得た。もちろん新人はチーフからもお叱りを受けていた。
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こんなこと、あり得ないとは思ってます。