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昼想夜夢

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昼想夜夢

8 - 第6話

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2024年05月07日

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『あと3日で母さん退院できそうだって』



あの日俺のLINEに送られてきたメッセージにはそんな言葉が綴られていた。



その言葉に心が軽くなって、安心で泣いてしまいそうになった。



あと3日。



あと3日、。



そしたらまたいつもみたいに…



授業中何度もこのメッセージを思い出して、休み時間には読み返して



3日。2日。ようやく明日で。なんてそんな言葉で脳が埋めつくされて、、



この3日間友人に様子が変だって言われた。無理してない?もしかして体調悪い?なんてことを聞かれた。



むしろその逆だった。この3日を耐えたらさとみくんに会えるんだから。きっと今の俺はここ最近で1番体調がいい。気分もいい。



心配されてしまったけどそんなことはもうどうでもいい。



会えないだけでこんなに不安で怖くなっちゃうなんて俺ってこんなに弱かったんだ。



そんなことを思った。



荒れ果てた部屋、汚い腕、薬の空箱の山、そんなものを見て頭に浮かぶのはさとみくんと出会う前のことだった。



寒くて暗くて呼吸が上手くできない。



ずっとずっと寂しくて、震えが止まらなくてひたすらに苦しい。



あの時さとみくんに出会ってなかったらきっと俺はとっくにこの命を投げ出していた自信がある。



これは依存というのだろうか、分からない。



けれど言えるのはひとつだけ。そんなものどうだっていいってこと。



さとみくんがいるならもうそれでいい。



今日が終わったらさとみくんに会える。



そんなことばっかりで。



俺はしばらく来られないと言われた日に自分で思ったことさえ忘れていたんだ。



だってさとみくんが嘘をついてるなんて疑う理由がどこにもなかったから。



「….あれ?さとみくん..?」



下校中見知らぬ女性と腕を組んで歩く見慣れた影に既に限界だった心は音を立てて崩れていった。

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