すぐさまその場を逃げだして 家まで走った。
心臓がバクバクうるさくて苦しくて震えが止まらない。
目頭が熱くて視界が歪んでいる。
だって
見間違えるはずない。
俺がさとみくんを間違えるはずがない。
あれはさとみくんだった。
隣にいた女性と明らかに腕を組んで道を歩いていた。
どうして。
なんで。
なんて聞くまでも無い。
さとみくんには恋人がいたのにただの友達の俺がさとみくんの時間を奪ってた。
俺は文句ひとつ言わないさとみくんに甘えすぎていたんだ。
だから親が倒れたって嘘で俺から距離を置いた。
ただの友達なのに優しいさとみくんに甘え過ぎてたよね。
今日が終わったらなんて全部俺の都合のいいことばっかりで、。
どうしよう。今までのこと全部今謝ったらさとみくんは俺を嫌いにならないでくれるかな
もう手遅れかな
…でもそもそも親が倒れたって嘘つかれたって勝手に思い込んでいたけれど、今まで一緒に下校してなかったんだから
もしかしたらずっと前からさとみくんには恋人がいて毎日一緒に帰ってて何も知らない俺が今日偶然見ちゃったってだけかもしれない
家に帰ってから今まで俺の家にいた時間を家事に回してるって考えたら納得がいくじゃないか。
そうだ。そうだよ。
俺バカみたいに焦っちゃって…
親や恋人よりも俺を優先する理由なんてどこにもないのだから。
別に俺が嫌われたからってわけじゃない… よ、
なんてそうやっていっつも自分の都合のいい方に妄想広げて、でもそれは妄想でしかなくて、現実はいつも最初に思いつく最悪な方ばっかりで。
もうわかんないよわかんない。
こうやってまた現実逃避しても現実なんて。
ほんと
最低だ。
色々な言葉が浮かんでは消えて都合のいい考えと悲惨な事実が頭を交差し続ける。
俺さとみくんがいなくなったらどうしたらいい…?
なんて被害者ヅラで。
自業自得なのに。
さとみくんに嫌われた未来を想像するのを脳が拒む。
さとみくんにとって俺はどうでもいい人になる。
関わりたくない人になる。
さとみくんの世界から俺が消えて無くなる。
なんてそんなの耐えられない。
考える事すら脳が拒むのに、実際に言葉を向けられたら….
縋るように今までさとみくんが与えてくれた言葉を自分の口で復唱した。
ねぇなんでここにさとみくんはいないの?
どうして俺の事抱きしめて頭を撫でてはくれないの..?
さとみくん言ったのに。
嘘つきだったんだ。ずっとずっと。
最低だってわかってるのになにかにあたることでしか自分を守る術を知らなくて、
優しいさとみくんにすら毒を吐く自分の弱い心が大嫌いだ。
いっそ…
「莉犬、どうして泣いてるの?」
突如聞こえた声に声のした方へと目を動かした。
そこにいたのは俺が泣いてる原因で、今1番会いたくない人で、1番会いたい人で、、
…あぁどうしてこの人はいつも俺が死にたくて消えたくてたまらない時に限って俺の前に現れるのだろう。
「なんでいるの…さとみくん….」
コメント
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投稿ありがとうございます!毎回更新が楽しみすぎます🥰桃くんへの過度な期待とか桃くんへの勝手なイメージとか美化されてるものとか、全部自分の都合のいい解釈だった時ほんとに絶望ですよね…赤くんの気持ち伝わってきて辛いです😭りあさん描写とか言葉選び上手すぎてめっちゃ感情移入しちゃいました🥺桃くんがもしわざと女の人と居るのを赤くんに見せてるとしたら、、?久々に会った桃赤の展開楽しみです!