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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで
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優斗とのいつもの帰り道。ゆっくりと歩きながらゆっくりと話す。いつものことだ。ふと、優斗が話題を振ってきた。「なぁなぁ。最近ここら辺で殺人が起きたって噂知ってるか?」

「殺人?」

珍しい。優斗はあまり噂を好んでいないのに。

「おう。なんかな、その殺人鬼、めっちゃイケメンらしいんだよ。白髪で運動神経がケタ違いらしいんだ。そいつを見たうちの学校の奴らがみんな輝に似てるってうるさくてな。ちょっと気になってよ。」

僕に似てる?珍しいな。でも『赤いディナー』に僕と同じような人はいない。他の殺し屋だろうか。でもこの東京は『赤いディナー』しか殺し屋はないはず。僕たちの縄張りで勝手に殺しをやっているのであればすぐさま始末しないといけない。そんな話をしているうちに、分かれ道がやってきた。

「あ、じゃあまたな。殺されないようにな~!笑」

「…優斗もね。また。」

ービュンッー

優斗が後ろを向いた瞬間、僕は目に見えない速度で『赤いディナー』まで急いだ。「殺されないように」優斗がそういった時何かを感じたのだ。何か、悪い予感が。

ーチリンチリンー

「あ、おかえりーってなにどうした?」

ツバルさんは急いでいる僕を少し心配しているようだった。

「ちょっと用事ができました。ボスに“花を枯らしてくる”と伝えてください。」

僕がそう言うと、ツバルさんは真剣な顔になって、「了解。」とだけ言ってくれた。僕は一瞬寝室に入り、いつもの服と仮面を付けて外へ出た。ちなみに花を枯らすの方は敵を殺してくると言うことだ。ボスなら僕の考えを分かってくれるだろう。走っていると、優斗が見えた。良かった、まだ襲われていないみたいだ。優斗は僕よりも家から学校までの距離が遠い。しかも人通りの少ない場所。僕はイヤホンをしてノリノリな優斗の後ろを尾行していった。もちろん、殺人鬼に気づかれないよう茂みに隠れながら。

ーグサッー

「…ッ!」

無意識で、僕は優斗に向けたナイフをもった殺人鬼が現れたとほぼ同時に殺人鬼にナイフを刺していた。もちろん、音もなく。

「う、うわぁ?!」

優斗に気づかれてしまった。でも僕は仮面を付けているから、流石に輝とはバレないだろう。僕は殺人鬼に床ドンし、ナイフを突きつけた。すでに脇腹にナイフは刺してある。

「何がしたい?」

僕がそういうと、そいつは満面の笑みで答えた。

「殺しがしたい」

とんだサイコパス野郎だ。僕は優斗に、「君は早く逃げてください。」と言って逃がした。

「ここは僕たち赤いディナーの縄張りだ。勝手な真似したら殺す。」

殺人鬼は笑いながら言った。

「輝退け。俺はウランに用がある。」

僕は瞬きをした瞬間何かになった。

「…サンゴ?」

「…あぁ。」

サンゴはウランの幼馴染であり親友。ウランが捨てられる前に仲良くしていた奴だ。

「ウラン、ここまで強くなったんやなぁ。」

ウランはナイフをしまい、サンゴを自由にさせた。その時。

ーグサッー

「…ッ!」

サンゴがウランを刺した。

「ゲホッゲホゲホッ!お前ッ」

今度はサンゴが近くにある建物の壁に壁ドンした。

「讃州の致(さんしゅうのち)に入らないか?」

「…ッ」

‘讃州の致’それは政府が一番に警戒している超犯罪組織。時には高級ビルを襲い、時には銀行を襲い、時には強盗。ビルの完全破壊1万件以上、銀行強盗50万件以上、そして総理大臣殺人1件。他にも山ほど犯罪を犯している。

「サンゴはそんな讃州の致に入るような奴じゃないはずだ…。」

「ふふっ…あはははは!!!」

サンゴは僕の腹に刺さっているナイフをもっと深く刺し、ウランの額に額をくっつけた。

「グッ…!」

「俺が昔のサンゴと同じだと思うなよ?お前と同じように俺も拾われたんだよ。」


ー16年前ー

俺、酸呉(さんご)と輝は産まれた時からずっと一緒にいた。別に兄弟でもなんでもない。たまたま隣にいた人と同じ日に生まれて、親たちがフレンドリーだからいつの間にか仲良くなっていた。そして2歳になった時、誕生日に俺たちは親を“殺してしまった”。俺もあいつも特殊能力を持って生まれてきた。ウランに関しては超人の身体能力、俺は人の心を読めるテレパシーを持って。特殊能力を持って生まれてくる人なんて100億人に1人レベルだ。なのになぜか同じ日に生まれた子供が2人も特殊能力を持っていた。そのため、僕たちは世界的有名な研究所に連れて行かれ、親とはさようならってわけだ。まだ幼い俺たちはいきなり親と離れるのが寂しくてたまらなく、特に輝の特殊能力が暴走し、誤って親を殺してしまった。俺の能力は傷は与えないが、元から持っていた成人男性なみの身体能力で輝を止めたが、止めるまでの数秒で、研究所を破壊してしまった。完全に。これだけあいつの能力は危険なのだ。そこで俺は讃州の致に、あいつは赤いディナーのボスにそれぞれ発見され、幼い頃から犯罪の知識を植えられた。


ウランは腹にあるナイフを抜き差し、放り投げてにやりと笑った。

「…てっきり餓死したのかと」

サンゴは笑った。

「あはははは…それはお前だろ?いいから讃州の致に入れ。」

ウランは拳銃をサンゴの額に突きつけた。

「ウランが入ると言うとでも?」

「素晴らしい早さだ。お前の心を読んだところ、ボス一択みたいだな。」

「ッ…!」

…当たってる。流石サンゴのテレパシーだ。

「だからなんだ」

「いや?俺はお前の兄貴の情報を持ってるってのを言いたいんだ。」

「…なに?」

兄の情報?もうウランが殺してしまったというのに?

「そんな顔しないでくれよ。結論から言うと、お前の兄貴は…生きてる。」

…は?

「そんなはずないだろ!兄はウランが殺したんだ。生きてるはずなんて…」

「俺のボスが治したんだ。ボスの治癒能力で。」

僕は持っていた拳銃を落とした。

「兄が生きている?」

サンゴは満面の笑みで言った。

「ああ。」

「兄はどこで何をしている?」

サンゴはウランが落とした拳銃を足で拾い、弾をウランの顔の真横に打った。

ーバンッ!ー

「讃州の致に入ってくれたら会わせてやる。」

「…くそ」

今のウランはボスが絶対。輝がなんて思うかは分からないが、ウランは赤いディナーを選ぶ。きっと輝もそうするだろ。ウランは口に付いた血を拭き取り、拳銃を奪った。まあ元はウランのだけど。

「何を言ったってウランの答えはNOだ。ウランも輝もボスが絶対。」

サンゴは呆れた顔をした。

「つまんねーの。讃州の致の初めてのスカウトなのに。」

ウランは拳銃を回しながら言った。

「なんでウランを讃州の致に入れたい?」

「そりゃあ、ウランがいたら俺たちの目標を達成できるからだ。」

ウランは拳銃を回す手を止めた。目標?達成?するとサンゴが満面の笑みを浮かべながら言った。その言葉はウランの想像以上の目標だった。少しの沈黙の後、サンゴはいきなり跳躍をし、飛んでいった。

「じゃ、俺はお前のボス襲ってくるわ。」

「!?」

ウランもサンゴに続いて跳躍した。でも、反射神経で跳躍したが、よくよく考えてみたらあいつはボスの居場所を知らないはずだ。いや、でもあいつならウランの心を読んで考察することができる。だめだ、サンゴにならバレる。ウランはスピードを上げた。サンゴの身体能力とウランの身体能力、圧倒的にウランが勝つ。言った通りあっという間にサンゴを超えた。

「…流石」

そう言った瞬間、サンゴは爆弾をウランに投げつけた。

「なっ?!」

―バアアアアン!―

“僕”は真下に落ち、芝生に背中を打ち付けられた。

「…」

もういつの間にか“僕”でもない“ウラン”でもない何かになってしまっていた。その何かは跳躍し、赤いディナーへ向かった。今度は目に見えない光のようなスピードで。

―シュン―

そして、一秒も経たないうちに一つも音を鳴らさずにボスの部屋までやってきて、サンゴの首を絞めた。

「お前いつの間に?!」

「ボスには一切触れさせない。」

この時の輝、いやウランはどんな表情だったのだろうか。

「やめなさい。」

「ッ!」

ボスの冷たい声。“僕”はその声で目覚めた。今までに起きたことは大体分かった。僕はサンゴを締めていた手を退け、ボスに一礼した。

「すみません。」

ボスは僕の横を通り、サンゴに音もなく拳銃を突きつけた。

「ところで…“サンゴ”くん?わたしの部下に何をした?」

「「!」」

ボスの殺意の目。久しぶりに見た。凍る空気、流石のサンゴも固まっている。

サンゴ『何故…心を読んでも暗闇…。そんなこと一度もなかったのに…。』

サンゴは笑った。

「ははっ…ただのスカウトだよ…。」

「サンゴ。」

僕は割って入った。

「これ以上言うな。死ぬぞ。」

するとサンゴはボスの拳銃をどけ、冷や汗をかきながらいつまでも笑っていた。ようやくボスが口を開いた。

「“ウラン”を欲する気持ちはよくわかる。しかし、わたしは輝とウランの義理の父親だ。ウランを渡すわけにはいかないのだよ。たとえ、“輝の兄が生きていようとも”。」

ボスも知っているのか。サンゴはため息をついて僕に向かって歩いた。

「はぁ…はいはい分かりましたよー。」

そして、僕の耳元で

「ぜってぇお前をその気にさせてやる。」

「…させてみろ。」

サンゴはボス部屋を去った。

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