テラーノベル

テラーノベル

テレビCM放送中!!
テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

短編

一覧ページ

「短編」のメインビジュアル

短編

7 - 俺は甘党なんかじゃねぇ

♥

49

2025年07月28日

シェアするシェアする
報告する

蝶屋敷の庭先。


風に揺れる木漏れ日が差し込む昼下がり。


そこに集められたのは、珍しくそろった柱たちだった。


「なんでこんな昼間から呼び出されなきゃなんねぇんだよ」



不機嫌そうに腕を組んだ実弥が言うと、宇髄が実弥の肩を叩きながら笑う。



「まぁまぁ、息抜きも必要ってことだろ。蝶屋敷から“試食会”の招待だとよ。派手にな」



しのぶが静かに微笑む。



「このあいだ、煉獄さんの誕生日に作ったおはぎが好評でして。今日は皆さんにも味見していただきたくて」


「……おはぎ……?」



実弥の眉がピクリと動いた。思わず顔が少し和らぐ。



「不死川、甘いもの好きなのか?」



と、実弥の表情を見逃さなかった冨岡が、ぽつりと口にする。



「別に、普通だろ。……おはぎくらい、食ってやるよ…」



恥ずかしそうにそっぽを向く実弥。その背を、派手に叩く宇髄。



「いいねぇ!甘党男子!!」


「うるせぇ!」



笑い声が弾ける中、ふと、おはぎを運んでくるしのぶの姿が見えた。


器用に丸められたおはぎが、ずらりと並ぶ。



「いただきます!」



匂いにつられてきた炭治郎や善逸、伊之助まで飛び込んできて、にぎやかに試食会が始まる。


ひとつ、またひとつと口に運びながら、実弥はふと、小さく笑った。



「……悪くねぇな。こういうのも」


「お前が笑うとこ、初めて見たかもな」



隣に座った冨岡が、思わず呟く。



「はぁ? 俺はいつも笑ってんだよ、見てねぇだけだろ」


「……そうか。なら、今度もっと笑ってるとこ、見てみたい」



冨岡の言葉に、実弥はおはぎをひとくち――そして、視線を逸らす。



「……知らねぇよ、ばーか」



それを聞いた煉獄が豪快に笑い、甘露寺が「わあ~!」と目を輝かせる。


ほんのひととき、戦いも、鬼も、血の気も忘れて、柱たちは甘い時間を過ごした――。





この作品はいかがでしたか?

49

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚