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「むぅう…」
僕は深夜、パソコンの前で肘をついて、
若干困っていた
あのもう一つの世界について色々調べては
見たのだが、運営もその目的も分からないことばかりらしい。実況者もいない、攻略サイトも無い、それどころか名前すらないらしい
しかも、なぜ一時間しかプレイ出来ないかに
ついては全く持って不明だ。プレイヤーのブログや日記を読んでみたが、1時間しかゲーム内に居られないなんて人は誰もいなかった
もう一度、あの世界へ潜って調べたかったが
ヘルメットを何度被っても、ログインは出来なかった。どうやら本当に1日、1時間らしい
それにしても他のVRMMOと呼ばれているゲームはいいなぁ、チュートリアルもある、派手な魔法もある、変なドラゴンにも襲われないらしいし…でも空気を吸ったり地面に触れたりするのはちょっぴり楽しかった
小さいころに戻ったみたいで、なんにも知らないからとにかく問いかけばかりして
「明日かぁ…って、もう明日じゃん」
時計は零時を回っていた。腹が減った
窓を少し開けたら、ぬるい空気が部屋に溜まった空気とバトンタッチして、ぐるぐる踊り回った。肌がぴりりと痺れた
コンビニでも行くか…
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家から200メートルぐらい行ったところに
コンビニがある。夜中でも夜明けでもガンガン照明を輝かせてるごちゃごちゃしたお店
うんと、小さい頃は「夜十時を過ぎたら1人でいっちゃいけませんよ」なんてお母さんに言われたっけ
「いらっるゃいあ〜せ」
金髪のお兄さんが元気よく挨拶した
入ってすぐ見えるところの棚には僕が嫌いな漫画のいい所だけを集めた漫画がぽつりぽつりと並んでいた。その背後が栄養ドリンクコーナー、僕が嫌いなものと嫌いなもので挟まれているのだ。そこから少し歩くと、靴下やらタオルやら爪切りやらを売っている棚がある。今日は僕より背の高いジャージを着た女性がストッキングを選んでいるようだった
買いたい物が特に無いのに来てしまった
どうしようか、とりあえず飲み物でも買おうかな
僕はガラス戸を開けた
「お待ちなさいな、あなた」
後ろから声がした、振り向くと怖い顔をして
さっきの女性が立っていた
「な、なんですか?」
「そこはお酒の棚だけど…あなた未成年なのに
お酒買おうとしてるの?」
へっ、と思い、改めて目の前を見ると確かにそこには銀色や水色や様々な色をしたお酒たちが僕を見つめていた
「わ、わ、わ、ままちがえ…間違えました!
ごめんなさ、なさ、ない!学校に連絡したりしないで…」
終わったと僕は思った。間違えて酒のガラス戸を開く奴がいるかよ。ああ
「連絡?」
「は、はい…」
すると、女性はくすくす笑って
「あなた、面白いこと言うわね。学校を知らないんだから通報出来るわけないじゃない。
それとも私が無理やりあなたから聞き出すタイプに見える?」
と、言った
「でも開けちゃったし…」
「開けたから何だって言うのよ。開けてまさか
そのまま飲むわけ?」
言われて見ればそうだ、開けただけでなんで
学校に通報されなくてはいけないんだ
未遂だぞまだ
「それに私だって未成年の時にお酒買っちゃったことぐらいあるよ〜なんてね」
女性は棚から取った背の高い銀色のお酒を
見せびらかす様に回して、その場を去った
結局、何も買わず僕はコンビニを後にした