テラーノベル
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次の日。
昼休みのチャイムが鳴った瞬間、
澪(冬月さん)が私の机にすっと来た。
「……りな」
「ん? どうしたの?」
「今日……家、来る?」
「へっ!?!?」
あまりにも急で、
私は持ってた箸を落としそうになった。
「い、いいの!? 冬月さん、誰も家呼んだことないって言ってたのに!」
「だから。
……呼ぶなら、りなだけ」
(……え、言い方反則では???)
心臓がきゅーっとして、
なんか息がうまく吸えなかった。
「い、行く……行く行く行く!!!」
「……そんなに言わなくても聞こえる」
「う、うん……ごめん……」
でも、嬉しすぎて無理だった。
学校を出て、
澪の少し後ろを歩きながら思った。
(なんか……デートみたい……)
澪の家は、学校から15分くらいの静かな住宅街にあった。
「ここ」
白くて綺麗な家だった。
玄関に入ると、すごく静か。
「お母さん、いないの?」
「今日は仕事。遅くまで帰ってこない」
「そっか……じゃあ二人っきり?」
「……そう」
(ひぇ、ひとりは緊張するって……!)
澪の部屋に入ると、
驚くほど綺麗で、シンプルで、落ち着いた空間だった。
「ここ……」
「散らかってない。大丈夫?」
「ぜんっぜん大丈夫! めっちゃ綺麗! 冬月さんらしい!」
「らしいって……どういう意味」
「クールで落ち着いてて、なんか安心するってこと」
澪はベッドに腰を下ろし、
私を見上げた。
「……りな、座れば?」
「う、うん」
隣に座ると、
距離が近くて息が止まりそうになった。
「ねぇ冬月さん。
家に呼んでくれたの、なんで?」
澪は少し考えてから答えた。
「昨日……弱いところ見せた」
「うん」
「あれを見られて、怖かった。
でも……りなが隣にいて、ずっと手、離さなかったから」
「うん」
「……もっと知ってほしいって思った」
(……やばい、かわ……)
「私、今まで誰にもこんなこと思ったことない。
りなだけ、特別なの」
「……っ」
心臓がほんとに痛いくらい跳ねた。
澪は続ける。
「ねぇ、りな。
昨日、“まだ告白じゃない”って言ったでしょ」
「う、うん……言った……」
「私も……“まだ言わない”って言った」
「言ってた……」
澪は少し体を寄せ、
目をそらさずに言う。
「……ちゃんとした時って、こういう時だと思う」
「えっ」
「だから——」
澪は小さく息を吸って、
まっすぐに言った。
「りな。私、あなたが好き」
(……え)
(え、待って、告白された……
冬月さんに……
え、本当に……?)
言葉が出ない私を見て、
澪は少しだけ不安そうに眉を下げた。
「……迷惑だった?」
「ち、違うよ!!!」
気づいたら、
私は澪の手をがしっと握っていた。
「うちも……冬月さんが好き。
めっちゃ、すごく、本気で!」
「……っ」
澪の目が驚いたように揺れた。
そして、
ほんの少しだけ微笑んだ。
「……言ってよかった」
「うん!」
その笑顔があまりにも綺麗で、
私は胸が苦しくなった。
部屋の静けさの中で、
お互いの手の温度だけが確かだった。
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