【ci side】
トントンがどこかに消えたという報告をしんぺい神さんからもらった。
正直思い当たる節しかなかった。
トントンに対する皆の態度。
トントンを守れない俺。
次第に弱っていくトントン。
ショッピを連れて探し回っている時、インカムから兄さんの声が聞こえた。
ut『………皆、何も言わずに、僕の話、聞いてほしいんや…』
kn『大先生、体調とか大丈夫なんか?』
ut『大丈夫や……』
『…皆、僕の事を、思ってくれとったんかもしれんけど……違うんや』
大先生は静かに話を始めた。
無能と言われることがつらかったこと。
でもトントンに言われたからではないこと。
実は数カ月前から一般兵から嫌がらせを受けていたこと。
一般兵から無能と言われることがしんどかったこと。
トントンにはもっと前から相談をしようと考えていたが、トントンが日に日に痩せていくのを見て、これ以上に負担をかけれないと思ったこと。
大先生は泣きながら語った。
自分がトントンを追い詰めてしまったんだと。
全ては自分のせいなんだと。
兄さんの声を聞いていると、ただただ苦しくなって、俺もどうして助けれなかったんだろうって…
そう考えたらもっと苦しくなって、しまいには俺も泣いてしまった。
shp「大丈夫、大丈夫やから…ッ」
「チーノ達だけが背負う話やないからっ…ポロッ」
インカムからは数人のすすり声が聞こえる。
きっと皆、自分の罪に気づいたんだろう。
俺がこんなこと言えないが、本当に酷い事をしたと思っている。
ci「ッッッ………こんな事している場合じゃないっ!!!」
shp「っチーノ、!!」
俺は一か所だけ心当たりがある場所があった。
そこは昔、十数年前に俺とトントンが出会った場所。
その時はまだ俺は詐欺に手を染めていなかったけど、親がずっと詐欺をしていたのでそうやって生きていくものだと思っていた。
そのある日、トントンと出会ったんや。
当時のトントンは、どこか暗い雰囲気を醸し出していた。
俺は放っておけないと思って、トントンに話しかけたんや。
まさか数年後、トントンに手を差し伸べてもらえると思ってなかったけど…。
ダッシュで走っていくと、一面に広がる海が見えた。
その砂浜の真ん中にポツンと座る男が一人。
その男は剣を首元までもってきており、今にもこの世をたちますと言う風景だった。
彼の名は……
次回最終話
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