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「らっだぁさんどうし…」


俺が聞くより早く赤い箱からチョコを取り出し、らっだぁさんはそれを食べた。


「!!、ちょっ、あんた何して!」


扉に寄りかかるようにしてむぐむぐと口を動かし無表情でこくりと飲み込んだ。


「え?こんなん悩んでる時間の方が勿体ねーじゃん」


「だとしても、少しは躊躇うとかあるでしょう⁈」


「?、ほらトラゾーもそっちの食べな」


青い箱を指差される。


「いや、分かってますけど…」


なんだかやっぱり掴みどころのない人だ。


扉に寄りかかったまま天井を見上げるらっだぁさんを見て小さく溜息をついた。


「……」


箱を開け一つチョコを摘む。

口に入れたそれは苦く、甘さとは別の意味で顔を顰める。


「……」


「……」


静かだ。

ここに仮にぺいんとと閉じ込められたらこんな静かにはならないだろうし、クロノアさんと閉じ込められてもこんな気まずくはならなかっただろう。


「…らっだぁさん、大丈夫ですか」


「ん?…んー…多分?」


ぼんやりしてるのは媚薬のせいなのか、元々なのか。


「…鍵、開いてるんですかね」


「どうだろうねぇ」


「いや、確かめろよ」


「えぇ?トラゾーが確かめたら?」


様子がおかしい。

媚薬が効いてきたのか。


「…なら、そこ退けて下さいよ」


「…退かしてみる?」


無理矢理にでもいいなら退かせれるけど、そこまで手荒なことはしたくない。

それに無駄に疲れるようなこともしたくない。


「……いえ、いいです」


諦めてベッドに座る。


「いいの?」


「変な人に近付くなってぺいんとに言われてるんで」


「おい!」


そのままベッドに寝転がる。

久々にこうやって横になった気がする。


色々と忙しくて徹夜することがあったから、こう柔らかいベッドに横になると寝落ちしそうだ。


「トラゾー?眠いんか?」


らっだぁさんの声が聞こえたけど、半分くらいはもう耳に入ってない。


「ん…」


5分だけ、そう呟いた俺は眠りの世界に旅立った。






「?、っ、ん…?」


何か違和感を感じて重たい瞼をゆっくり開く。


「あ、起きたな。おはよートラゾー」


「らっだぁさん、…?、っえ?」


何故か全裸の俺とそんな俺の体を触っているらっだぁさんがいた。


「!!?」


瞬間で何をされてるか理解して起きあがろうとした。

けど、それは叶わなかった。

俺の両腕はベッドの上の柵部分に手錠のようなもので拘束され、片脚は立てて曲げた形で拘束具で固定されていた。


「やっぱ、そうくると思ったわ」


へらっと笑うらっだぁさんは小さな鍵を俺に見せた。


「なんですか、それ…」


何かなんて分かってるのに、そう聞くことしかできなかった。


「ソイツらの鍵」


ぽいっと床に投げ落とす。

どこに落ちたかは分からない。


「何で、こんなっ…どうしてこんな格好させて…!」


「全部見えて可愛いな、トラゾー」


じっと見つめられ、じわりと羞恥心を煽られる。

動く方の足を閉じて意味がないと分かってても隠す。


「なぁ、トラゾーってよく無防備って言われねー?」


「え?は?…言われたこと、ないと思いますけど…」


多分。

言われていたとしても、自分には当てはまらないと流していたから記憶には残っていない。


「てか、それとこれとが今、何の関係が…!」


大きな声をして威嚇するしかできない俺をなんてことないとらっだぁさんは見下ろした。


「ふぅん?だったら、お前はとんでもない鈍感ってことだな」


はぁ、と息を吐いたらっだぁさんはマフラーを解き上着やらを脱いだ。


「どういう…?」


らっだぁさんは俯いて帽子を取った。

そして前髪から覗く目に、今更自分の置かれてる立場を理解した。


「普通、媚薬入りチョコ食った奴の前で無防備に寝るか?鍵だってちゃんと開いてたのに。それを自分の手で確かめもせずしれっと寝こけて」


鍵と同じように床に投げ落としたらっだぁさんは前髪を掻き上げる。

よくよく見れば、汗でしっとりと濡れている。


「っ!」


見慣れない姿に不意打ちをくらった。

ギャップがありすぎる。

優しくて穏やかでおちゃらけたようなこの人、クロノアさんみたくイケメンだったことを忘れていた。


「鈍感で無防備なトラゾーには身体で教えてやんねぇとな?」


らっだぁさんから落ちた汗はシーツに吸い込まれていった。





「ぃぁあ゛!」


かなり無理な体勢でナカを触られる。


「泣いた顔も可愛いな、トラ」


「ゃめ、ッ…ひゔぁ⁈」


いつものらっだぁさんとは大違いなくらい楽しそうに笑っている。


「やらけぇ」


「ひぁん⁈」


「ココ、気持ちいーな?」


グリグリと押されて、もう何も出ないソコはびくりと跳ねるだけだった。


「トラの方が媚薬チョコ食べたみたいだなぁ?感じやすいのはそういう素質があんのか?」


「なぃ、ないぃッ!しらないです…っ!」


「じゃあ、ただの淫乱なだけか」


ぐっと強く押されて仰け反った。


「ぁああぁ゛!」


「あ」


イッた感覚はずっと続いていてもう何も出ないはずなのに、ナニかが出ていた。


「潮吹きしたのかよ。やっぱ淫乱じゃん」


「へ、ぁ…?お、れ、ぅそ…」


「ホント♡」


力が抜けて、ぺたりと腰が沈む。


「じゃ、ここまで我慢した俺にご褒美ちょーだい?」


「ごほうび…?」


身体が怠く拘束されてることもあって動くのも億劫になる。

頭も回らない。


「そ、」


ズボンの前を寛げたらっだぁさんは笑顔で俺の腰を掴んだ。


「ぁ、うっ」


後ろに充てられるソレはすごく熱くて脈打っている。


「この体勢だと、奥まで突いてやれそう」


「ら、だぁ…さ…」


「はッ、そんな物欲しそうなカオして見るなって」


ゆっくりとナカに入ってくるらっだぁさん。


「ん、ぁ、ぁゔ…っ」


熱い。

そしてもどかしい。


「ゆ、ゅっくり、ぃやぁ…ッ」


「こっちの方が感じやすいだろ?」


「ぁ゛ぅんんっ」


ぽたりとらっだぁさんから汗が落ちる。


余裕のない顔。

無を徹してる人とは思えない。


「気持ちいいな?…ト、ラ♡!」


「ゃゔぁあッ…⁈」


ゆっくり進めていたのに急に奥まで突かれた。

目の前で星が散っている。


「あ、そーいやぁ」


すっと胸に手を伸ばしてきた。


「コッチ触ってなかったな」


外気に触れ、立ってしまっているのを見てらっだぁさんは小さく笑った。


「女の子みたいだなぁ?こんな立って」


「ひン!」


爪で弾かれてびくりと体が跳ねる。

それと同時にナカが締まってしまった。


「っ、……ふっ、そんなに俺のコレ、離したくないんか?」


「ちがぁ…!」


「可愛いトラ♡」


胸を揉むようにして触られる。


「奥も締まってんねぇ」


「ゃあぁあ゛⁈」


「あー、やべ…全ッ然、おさまんねぇ」


「ひあぁあっ」


「ふはっ、もう喋れてないやん」


頭を振って快楽から逃げようとしてもそれを許してもらえない。


「残り2つ食べてたらトラ、気絶しちまうな」


「た、たべッ…なくれ、ぃぃ…っ」


「え?食べてほしい?しょうがねぇな。トラってばホントに欲しがりさんだな♡」


「ゃ、やらぁあっ」


らっだぁさんはベッド横に置いていたチョコを2つ口に入れた。


「淫乱で欲しがりトラちゃん♡」


腰を再び掴まれて、最奥を乱暴に突かれた。

同じように潮を吹いたのだろう。

自分の顔に水のようなモノがかかった。


「わぉ、セルフ顔射じゃん」


「ぁ、あ゛、」


「マジ淫乱だな?」


「っ!、?、♡…?」


思考は霞みがかって何も分からない。

ただひとつ分かるのは気持ちいいことだけ。


「らだ、さぁ…♡??」


「お?やっとかぁ」


カチリと頭上で音がして、上がっていた手が下ろされた。

麻痺したような感覚と血が巡っていく感覚。


その次に片脚が伸びた。


「もう拘束する必要ねーからな」


拘束具の鍵は2つあったらしい。

さっき捨てたのはスペアっぽい。


「手ぇ痺れてる?足も」


ついとなぞられて背筋がゾクゾクした。


「ひゃっ♡」


「こんなんでも感じんのか」


抱き起こされてらっだぁさんと上下が反対になる。


「ん゛ァアッ…!」


馬乗りになるような格好をさせられてるのに、恥ずかしさより気持ちよさが勝っていた。


「媚薬チョコのみっつ分、トラゾー頑張ってな?」


「はぃ♡おれ、がんばります♡♡」


首に手を回されて、らっだぁさんと近くなる。


「ははっ、これじゃどっちのご褒美か分かんねーな♡」


「らっだ、ひゃん、すきぃ♡だぃすきれす♡」


「俺もトラのこと大好きだぜ♡」


そのあとらっだぁさんが呟いた声は喘ぐ俺には聞こえることはなかった。






──どう足掻いたって、行き着く先はおんなじだからな。

「こっちは媚薬入り、こっちは普通のチョコ。どっち選んでもいいけど選ばなかった方を俺が食べるね」

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コメント

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やっぱらだトラ最高♡ 無自覚なトラゾーさんも可愛い! らっだぁさんも寝てるとこ狙うのなんかこう…めっちゃいい(語彙力…)

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