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始まった。
また今日から、もう少し歩けば、中に入らざるを得なくなる場所。監獄のようなものだ。
そこに、今日からまた閉じ込められる。
歩道を歩いている僕。
僕の進む方向を基準として、
右には満開の桜、絶えず花弁が散っている。
淡い桃色が今を彩る
左には車の音が絶えず聞こえる。
社会人も仕事で登校中だ。可哀想に。大変だな。お互い頑張ろう。
そんな事を清々しい風を浴びながらぼやぼやと心の中に呟いていると、既にそれは目の前にあった。
始まって、しまう。
今年から高校2学年になる僕はクラス替えがあるので、昇降口に張り出されているクラス表を見て自分の名を探す。
「すずかぜみらい…涼風…未来……」
呟きながら探す、探す。
「あった…..!っ、」
直後、肩に衝撃があって、思わずよろけた。
「っわ、大丈夫ですか?」
「あ、すみません…!よろけてしまって…」
言いかけながらぶつかった方向を見ると、綺麗な女の子で言葉を失った。
彼女に見とれていたら、お互いなんと言えばいいかわからなくなり、見つめあった末、後ろから 僕にぶつかってきたと思われる人の声が聞こえてきた。
「あの、ごめん、大丈夫だった?」
「あ、はい。大丈夫です…」
ちょっといい感じの雰囲気だったけどな…と内心思っていたけど、その人の顔を見てまた驚いてしまった。
「良かった。じゃ。」
そう言って去っていく彼は、
学年1の『モテ男』ってやつ、だったのだ。
ここから出会ったんだ。
ここから共通点はあったじゃないか。
春は出会いと別れの季節。
僕は違うと思う。
別れてからの出会いだ。
どちらでも変わらないだろうと思うだろうが、僕は気にしてしまうんだ。順番を。
これからの物語にはなんら関係ないけど、僕はそう思う。