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16 ◇正義とまほりが付き合うようになった経緯
正義は外回りに行くときは堀内と言う同性の社員を連れて行くことに決めている
のだが、この日は病欠で休んでいた上にたまたま、この時男性社員が全員
出払っていて、女子社員しかいない状況だった。
それで──
気持ち的に頼みやすいのはやはり数日前にトラブルの対応を手伝った満島と
いうことになり、正義は満島を伴って外回りに出ることにした。
社を出たのが10時前で、出先で商談を終えて駅に向かったのが13時を過ぎていた。
「お昼食べそこなって申し訳なかったね。駅近辺で何か食べて帰ろう」
「若いから大丈夫です。それと課長、今日のランチ私に奢らせていただけませんか。
お願いしますっ」
必死でお願いされ、正義は折れた。
この日のランチでは、満島にも余裕ができたのか? 自分の話した冗談に
コロコロと笑った。
そんな彼女の表情は柔らかく、頬がほんのり赤らんでいて、正義は『いいな』と感じた。
その日を境に、正義は満島からの視線を時折感じるようになる。
最初はただの気のせいかと思っていた。
けれど、仕事で二度三度と言葉を交わすうちに、そしてその都度満島の自分に
向けられる視線に気づくようになると『もしや、自分は彼女から慕われている
のかも…しれない』と思うようになっていった。
そしてこの頃から、正義もまた彼女のことを意識するようになっていくのである。
まったく―――
男女の仲とは不思議なもので、以心伝心、互いの気持ちが引き合うようになると、
距離が縮まるのにそう時間は掛からないてのである。
そんな独身女性と既婚男性が、まるで親しい学生カップルのようにメールを
交わすようになるのに早晩時間は掛からなかった。
休日の昼下がり──
昼食を済まし、つけっぱなしのTVから流れて来るニュースを聞きながら
リビングの長椅子の上で正義がゴロゴロしている時だった。
一通のメールが届く。
それが満島からの初めての私的なメールだった。
内容は別段大したこともない、月曜日に揃えておく資料の件についてだった。
『蒼馬課長、外回りで堀内さんが都合の悪い時があればまた遠慮なく
私に声を掛けてください。お供しますので』
『うん? あぁ、ありがとう。そう言ってもらえると心強いよ』
こんな風にして、メールを交わすようになり、仕事の内容など関係なく
学生同士が交わすようなメールのやり取りになるのにそう時間は掛からなかった。