守るべきもの

---

side．もとぅ

今日はバラエティ番組の打ち合わせ。涼ちゃんと2人でテレビ局に向かう。

なんで2人かというのは、番組内容に関わるからだ。

珍しくカチッとした服で、会議室の扉を開く。

涼ちゃんは不安そうな顔をしながら、俺の後ろをついてくる。

大森「こんにちは～…よろしくお願いします」

藤澤「よろしくお願いします…」

スタ「お願いします。ご出演、ありがとうございます」

大森「いえ。それで、内容の方は…」

スタッフさんが言ったことを要約すると、

感情があまり顔に出ない(と思われているらしい)若井の、いろんな顔を引き出そう！とのこと。

俺らも面白いことは大好きだし、テレビで若井のいろんな顔が見れたら、ファンの子たちも嬉しいだろう。

問題は内容だ。

スタッフさんがたくさんの案を用意してくださった。

これを今から涼ちゃんと俺で6、7個に絞っていくんだけど、明らかに論外のものもある。

大森「涼ちゃんどー？」

藤澤「楽器類は全部だめ。壊すとか、論外です」

大森「うん、ちょっとありえないね。あと、サポメンも巻き込むのもNGで」

藤澤「そうだね。僕らだけで完結させたい」

大森「うーん…若井結構顔に出るんだけどなあ～…」

藤澤「難しいねえ～…」

いろいろ考えて何とか絞った。

・誰もいないのに物音がする(恐？)

・普通だと思ったら実は激辛ラーメン(驚？)

・俺ら2人で若井を褒めまくる(喜？)

・涼ちゃんが勝手に若井のギターを弾く(怒？)

・ご厚意でもらったお弁当がパクチーだらけ(悲？)

・俺が若井にケンカを売る(怒？)

許せるギリギリでこれだ。何ならだいぶ優しいと思う。

スタッフさん達は不満そうな顔をしていたけど、仕方がない。

仲間の、恋人の悲しい顔を見るのはもうごめんだし、そこまでしてバラエティしたくないし。

ここのテレビ局は関わるのが初めてで、正直ちょっと心配ではある。

楽器を壊す、とかサポメンがどう、とかちょっと度が過ぎてるし。

でもちょうど新曲のリリースのときで、久々の3人バラエティだったからOKを出した。

ちょっと変なことしたら訴えるけどね。

スタ「あとはこちらで進めますね」

大森「分かりました。じゃあ収録、よろしくお願いします。」

藤澤「よろしくお願いします…！」

帰り際、涼ちゃんもやっぱり不安そうな顔。

くそ、やめといたほうが良かったか。

---

若井さん、どうなっちゃうんだ～…