テラーノベル
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まずは激辛。
side.もとぅ
ついに迎えたロケ当日。
俺らはよく知らないんだけど、若井には偽企画をきっちり伝えてあるらしい。
不安が残る中で、涼ちゃんと車に乗り込む。
藤澤「何もなく終わればいいけど、なんかモヤモヤする…」
大森「だね…何かあったら、絶対守ろう」
藤澤「もちろん。うちのギタリストは、めちゃめちゃ繊細な末っ子だからね」
大森「ね~笑 今日終わったら、俺の家でお泊まりしよ」
藤澤「最高!若井にも連絡しちゃお」
涼ちゃんが送ったメッセージにはすぐに既読がついて、元気いっぱいの返信が返ってきた。
『うん!今日頑張ろうね!!!』
『大好き!!』
ポコポコっと送られたメッセージに、さすがに頬が緩む。
こいつ…かわいい。
ロケが始まった。若井の乗っている車にはカメラが付いてて、それがこっちの画面に映される。
1人で一生懸命話してて、幸せ空間すぎる。
今からすることがドッキリ、じゃなければもっと良かったんだけど。
まず1つ目の場所へ。
なんか古めの3、4階建てビルで、ここでまずラーメンを食べるらしい。
激辛に多少のトラウマがあるから、大丈夫かな。
若井「こちらのラーメン屋さんにやってきました!すっごく人気のお店なんですよね~」
スタ「いらっしゃいませ~」
若井「こんにちは~!よろしくお願いします!」
軽くトークをしながら、丁寧に頭を下げる若井。
そのままカウンター席に座って、なにやらオススメ?を注文した。
数分経って出てきたのは見た目は特に変わらない普通のラーメン。
真っ赤っかとかでもないところが、なんか狡い。
若井「おすすめの食べ方とかありますか?」
スタ「そうですね~。よく、こちらの唐辛子を振っていただいていますね」
若井「なるほど~!結構いっちゃいますか!」
おいおい、ハメてんじゃねえか。どうなってんの。
食べ始めて、若井の動きが一瞬止まる。若井は辛いのダメだって言ってんじゃん。
目を見開いて、飲みこんでから少し水を飲んだ。
食リポをしていつも通りニコニコしている。
そのままどんどん食べ進めていく。いやいや、顔色悪いけど…
若井「ごちそうさまでした!うわあ~すっごい刺激でした!でもおいしい!」
若井「今度はメンバーと一緒に来たいですね~。結構辛かったけど、めっちゃ美味しかったです」
スタ「ありがとうございました~」
若井「素敵なお店でした!ありがとうございました!」
お店を出て移動用の車に乗った瞬間、若井の顔がくにゃりと曲がった。
最後までニコニコ喋って、きっちりお辞儀までして、いい人すぎる。
辛いの苦手じゃんか。ダメなら言えばいいのに最後まで食べきるとか、なんか泣けてきた。
若井「ごめんなさい、お水もらってもいいですか?すいません、」
スタ「辛かったですか?」
若井「さすがにちょっとびっくりしましたね笑 でも素敵なお店だったなあ…」
素敵って…そんなわけないじゃん。明らかに苦しむところを撮ろうとしてたよね。
予定に全くない動きに、苦情を言おうと立ち上がった。
と、一件のメッセージ。
『激辛企画だった…リアクションだめだったかも。ごめん』
いい人すぎて、この先のことを考えるとぞわっと鳥肌が立った。
テレビ局、ちょっと暴走気味ですね…
コメント
2件
ね〜…ちょっと、TV局! 若井さんがいい人過ぎる… ブチギレた二人が見たい…😏