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ハムスター
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第1話「隣の席と、体育館の後輩」
春。
桜の花びらが、校門から続く道をゆっくり舞っていた。
高校3年生になったジミンは、新しい教室の窓際の席に座り、ぼんやり外を眺めていた。
「……今年も始まったなぁ」
ジミンは机に頬杖をついた。
「ジミナ、おはよ!」
友達が声をかけてくる。
「おはよ〜」
と振り返って笑う。
その笑顔は、目が細くなっていて、どこか幼く見える。
そんなジミンを、少し離れた席から見ている男子がいた。
テヒョン。
同じクラスで、バスケ部のエース。
顔立ちは整っていて、学校ではかなり有名な存在だった。
女子から話しかけられることも多い。
けれど――
テヒョンの視線は、いつもジミンに向いていた。
「なに?」
突然ジミンが振り返る。
「え?」
「さっきから僕のこと見てなかった?」
「見てない」
「絶対見てたじゃん」
とジミンが笑う。
「ふふっ」
テヒョンは一瞬、言葉を失った。
「……何笑ってんの」
「だってテヒョンア、顔赤い」
「赤くない」
「赤いよ?」
「……うるさい」
テヒョンはそっぽを向いた。
ジミンはそんなテヒョンを見て、また笑った。
――このときのジミンは、まだ知らなかった。
自分のことを、ずっと好きでいる人がすぐ近くにいることを。
そしてもう一人。
その同じような気持ちを持つ後輩が現れることを。
放課後。
ジミンはダンス部の練習を終えて、体育館の横を歩いていた。
中から、バスケットボールが床を跳ねる音が聞こえてくる。
ドンッ、ドンッ
「ナイス!」
「もう一本!」
ジミンは少しだけ立ち止まった。
体育館の中では、テヒョンアたちが練習している。
「テヒョンア、頑張ってるなぁ」
ジミンは小さく呟いた。
そのまま帰ろうとした瞬間――
「危ない!」
「え?」
ボールが体育館の外へ飛び出してきた。
ジミンの足元まで転がってくる。
「これ……」
ジミンがボールを拾い、体育館を見る。
すると、一人の男子が走ってきた。
「すみません!」
「はい、どうぞ」
ジミンがボールを差し出す。
その男子は、ジミンより少し背が高かった。
制服のネクタイは、ジミンたち高3とは違う色。
――たしか高2。
「ありがとうございます」
「バスケ部?」
「はい」
「じゃあテヒョンアの後輩?」
「……テヒョン先輩を知ってるんですか?」
「同じクラスだからね」
「ああ……」
男子は少しだけ笑った。
「僕は、グクです」
「グク?」
「はい。高2です」
「そっか。僕はジミン。よろしくね」
「……ジミン先輩」
グクが、その名前を小さく繰り返す。
その瞬間。
体育館の入り口から声がした。
「グガ、何してんの?」
テヒョンだった。
グクが振り返る。
「ボール拾ってました」
「……そっか」
テヒョンの視線がジミンに移る。
そして、グクへ戻る。
「早く戻れよ」
「はい」
グクが体育館へ戻ろうとする。
その直前。
「ジミン先輩」
「ん?」
「また会えますか?」
ジミンは少し驚いた。
「学校同じなんだから、会えるでしょ?」
「……そうですね」
グクは笑った。
ジミンも笑い返す。
「じゃあ、またね」
「はい!」
グクが体育館へ戻っていく。
その様子を見ていたテヒョンは、少しだけ眉を寄せた。
「グガ」
「はい?」
「練習」
「あ、はい」
グクが急いで体育館へ戻っていく。
ジミンは二人を見送ってから、帰ろうとした。
「ジミナ」
「ん?」
テヒョンが呼び止める。
「……一緒に帰る?」
「いいよ!」
ジミンは何も疑わず笑った。
テヒョンもつられて笑う。
けれど、その表情には少しだけ緊張が混じっていた。
二人が体育館から離れていく。
その後ろ姿を、グクが体育館の中から見つめていた。
「……テヒョン先輩」
グクは小さく呟く。
「僕、負けませんから」
春の風が、体育館を吹き抜ける。
まだ誰も知らない。
この日から始まる、三人の長い青春のことを。
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コメント
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第1話読了〜!!🌸 桜の季節の始まり、ジミンの何も知らない笑顔がもう切ない…! テヒョンがこっそり見てるのに「見てない」って言い張るの、顔赤くなっててバレバレじゃん(笑) そこに高2のグク登場で「また会えますか?」って…もう三角関係の予感しかないんだけど!? 「僕、負けませんから」のグクの一言に胸がギュッとなったよ…😭💕 続きが気になりすぎる〜!!