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『絶対、バレるなよ』
そう言ったのは、俺、M!LKのリーダー吉田仁人だ
「分かってるよ。じーんちゃん♡」
『そういう所だよ』
俺の話を聞いていないように返事だけするこいつは佐野勇斗
俺の恋人だ
こいつと付き合ったのはほんとつい最近
昨日だ
昨日は、勇斗の家に泊まらせてもらい、そっから一緒に仕事現場まできた
俺はずっとみんなにバレないかな?と心臓がドキドキして心配だったのに、横にいるこいつは呑気に俺の顔を眺めながらずっとニコニコしていた
だから不安なのだ
まだ誰にも言っていないこの秘密
こいつはすぐ口を滑らしてしまいそうで、いや、口を滑らさなくてもわざと言いそうで怖い
表向きは“仲のいいメンバー”
み!るきーずからは「さのじん夫婦」なんて言われている俺らだがまぁ、強ち間違ってはいない
「佐野さーん!吉田さーん!スタンバイお願いします!!」
『はーい!』
『ほら、行くぞ』
「はーい♡」
『今日の生配信、勇斗俺のこと見すぎ』
「だって、じんちゃん可愛いんだもん」
『うるさいわ。気づかれたらどうすんだよ』
「俺が仁人のこと見てるなんていつものことじゃん。気づかれないって」
『分かんないだろ?、』
「それに、仁人とキスしたかったし」
『ッだめ!』
「なんで」
『ここ楽屋。いくらあの3人が居なくたってここじゃだめ 』
「いいじゃん。仁人も期待してんでしょ」
『っ、』
ぐっと顎を持ち上げられて、視線が絡む
アイドルは恋愛禁止
それも“男同士”なんて、絶対に許されない
なのに
「……俺のこと好きなくせに」
耳元で囁かれる声に、心臓が跳ねる
『勇斗の方が、俺のこと好きでしょ』
負けず嫌いに返せば、次の瞬間、ソファに押し倒される
「言わせたい?仁人のこと好きって」
『……っ』
触れるだけのキス
でも、それだけで頭が真っ白になる
「もちろん、好きだよ。大好き。仁人が俺の事どんだけ好きか知らないけど、多分愛は俺の方が重い気がするな」
『知らないくせに、』
ファンの前では触れない手
カメラの前では見せない表情
俺は、額を勇斗の肩に押しつけた
『んっ、ふぁ、』
「ふふっ、やっぱじんちゃん息継ぎ下手だね」
『言わなくていぃ、』
「そんなとこも可愛いよ」
『可愛い可愛いうるさい。俺は可愛くない』
「そういう所。まぁ好きだからいいけどさ」
そんな簡単に好きとか言うこいつに腹が立つ
でも、
『ねぇ、』
「ん?」
『もう、ちゅーしてくれないの?』
「やっぱ可愛いじゃん。でも、仁人が言ったんだよ?ここ楽屋だって。ダメだって」
『勇斗のせいじゃん、』
「家帰ったらね?2人きりの時に仁人の全部頂戴?」
『、ばか』
「ばかで結構ですー」
ステージでは完璧なアイドル
でも今は、ただの恋する男
勇斗はそっと俺の背中に腕を回す
「大丈夫。この恋は非公開。誰にも言わない」
『……うん』
「でも、終わらせるつもりはないから。覚悟しててね」
沈黙の中、もう一度だけ触れる唇
明日もまた、何もなかった顔で笑い、 ファンに手を振る
でも、 カメラが回っていない世界でだけ、 俺たちは恋人だ