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アヤソフィア正面の公園を挟んで、真向かいにブルーモスクが建っている。
石造りのブルーモスクは淡いグレー色なのに、なぜブルーモスクなのかと旅人が聞いてきた。青年は、内装のタイルの色に由来している、中に入ってみれば分かると言った。旅人は腕を組んでじっと建物を見てから、「ブルーっていうのは、このグレーの外装の詩的表現だな。その方が僕にはぴったりくる」と言った。詩人だねと青年が言うと、「目指してる」と旅人は微笑んだ。
「アヤソフィアもブルーモスクも、やっぱりイスラムの丸屋根なんだね」と旅人が言うと、青年は首を横に振った。
「それを言うなら、ビザンツの丸屋根だよ。ブルーモスクの方が真似したんだ」寺院のミナレットから、モアヅィンが流れてきた。アラーの他に神なし、マホメットの他に預言者なし、というアラビア語が重々しく、ゆっくり響く。
「ちょっとでかいや」といって旅人は耳を塞いだ。
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