もし、だめな子だったら何もできない子だったらどうしよう
別に何かに束縛されているわけじゃない、ただ自己肯定感があまりにも低いためこういう思考回路になってしまうだけだ
他人の目や仕草を気にしすぎて息がしずらくなったのはいつからだろう
ひとに気を使うのがいやで、ひとに何か想われるのもいやで人との関係を一切遮断してきた
今日も、友達がいない俺は遠目で人気者のあの人を見て何となく暇つぶしに本を読んでいた
「あぁ、その映画、面白かった」
「でしょ~!ロボロくんならきっとそう言ってくれると思った…!!」
「ねえ、ゆきずるいよ!ロボロくん、今日一緒に帰ろ~?」
「いいよ、ちょうど部活もないし」
「あっ、ちょっとまここそフライングだってば!」
スカートが短い女子にモテモテ、もちろん男子からの人気も絶大でいつも人に囲まれている
クラスの中心的な存在のロボロは今日も争奪戦になっていた
うらやましいなぁ、親友という存在がいたらこんな寂しい思いもしなかったのに
人と話すのがいやな訳じゃない。気遣ったり、嫌味を言われるのがいやだっただけだ
窓の外から風が吹くと、カーテンがふわっと大きく膨らんで揺れた
「おいロボロお前だけ女子にモテモテでずるいぞ〜!」
「そうだそうだ!俺らは取り合いになんてならないのに」
rb「でも隣のクラスのミサちゃんお前のこと気になってるって噂だよ」
「ビック情報!!遂にお前にもモテ期がきたか」
「お、俺ェ!?たしかに、ミサちゃん可愛いけど……」
恋バナで盛りあがって、バカみたいにはしゃぎまわれる友達がずっと前から欲しかった
そんなことほざいてもいまさらできるわけが無いので、今日も静かに本を読んだ
…放課後
今日の一日で読み終わってしまった恋愛ミステリーの本はトリックや伏線が色々なところに仕掛けられてて面白かった
恋愛要素ももちろんキュンキュンしたし…
先程読み終わった本の余韻に浸りながら放課後の図書室に本を返しに行った
sh「この本、返します」
図書当番らしい大人しそうな女の子が少し気だるそうに、パソコンを弄って本のバーコードを読み取ると、俺はその本を本棚に返しに行った
学校の図書室は木の匂いと陽の光のおかげで暖かいし、なにより落ち着くから好きだ
本を元の場所に戻すと、次読む本を探しにゆっくりと本棚を見回る
この作品、前少しだけ読んだっけ…
暇な時間常に図書室に入り浸っている俺は途中まで読んだ作品や、読んでしまった本が殆どだった
といっても、俺が好きなジャンルの本を読み漁っているだけで政治や、歴史的文化について語る本には目もつけていない
大きな本棚に詰まっている本の題名に全て目を通したが、特に気に入る本もなかったので
新作の本!と書かれているポップの本棚に目を付けた
その本棚の端に飾ってあったラブストーリーとミステリーを掛け合わせた本
表紙を見る限り恋愛要素が多そうな本だが、見出しを見て面白そうだと思った俺はそれをカウンターに持って行った
カウンターの担当は変わっていて、見るからにイケメンの雰囲気を醸し出した男に変わっていた
sh「すみません、これ借ります」
「あぁ、ごめんね気付かなくて」
本に夢中になっていた彼は俺が声をかけるとクルッと椅子をこちら側に向けて対応した
「あ、この本…結構おもしろかったよ」
まさか話しかけられると思わなかった俺は少しびっくりして曖昧な返事になってしまった
sh「へぇ…そうなんだ、読むの楽しみだな」
「ねえ同じクラスのシャオロン君だよね」
sh「え?」
びっくりして顔をあげると、同じクラスのロボロくんだった
sh「…ロボロくん?」
rb「分かってくれた?シャオロン君女の子みたいな髪型に男子の制服だからすぐ分かっちゃうよ」
ふふん、と誇らしげに鼻を鳴らしながら回転するイスをくるくる回して遊んでいる
sh「なんか意外だな、ロボロくんが図書委員やってるとか」
rb「これでも家に本いっぱいあるんだよ?図書室の本も結構読んでると思うなぁ」
sh「おれも暇さえあれば図書質通ってるからもう読み尽くしちゃったよ」
何となく、意気投合と言うには違うかもしれないが、本が好きという共通点で少しだけ関わりをもてた気がした
rb「それで、1冊しか借りないの?」
sh「うん、読む本がなくてさ」
rb「もうすぐ図書室閉まるし、鍵当番俺だから特別に面白い本を教えてあげよーう!」
読んでいた本に栞を挟んで、椅子から立つと俺を引導するようにこっち、と図書室の中を歩き回った
rb「シャオロン君はミステリーとか好き?」
sh「うん、ミステリーが1番だいすきかな」
rb「…結構気合うんだ。嬉しい」
sh「ロボロくんも、ミステリーとか読むんだね。仲良くなれそうだな」
rb「おれも、シャオロン君みたいな大人しい子好きだから仲良くなれそう」
あれ、そんなつもりで言ったんじゃなかったのに
疑問に思ったのを心の内に引っ込めてまた図書室の中を散策してやっとその本を見つけたらしい
rb「あー、そうこれこれ」
数ある本の中から1冊本を抜き取ると少し古い本だった
rb「ミステリーとは少し違うんだけどね、どんでん返しな物語が何個も入ってて面白いんだよ」
sh「…へえ、じゃあこれも借ります」
ロボロくんからその本を受け取ると、少し分厚いが、見出しを見るなり確かに面白そうな短編集が詰まっていそうな本だった
rb「こんど図書室来る時さ、シャオロン君のおすすめの本教えてよ」
本を渡すと、バーコードを2冊とも読み取って俺に渡した
sh「勿論、沢山知ってるから任せて」
rb「俺の図書当番、水曜日と金曜日だからあ、あと放課後ね」
sh「じゃあ次の金曜日また会おうね」
rb「うん、楽しみにしてるから」
その一言を聞き終わるとばいばい、と手を振って図書室から出た
友達ができた嬉しさで胸の高鳴りが抑えられない俺は心臓がいつもより早く脈を打ってどくどくしているのを落ち着かせるように1回だけ深く深呼吸した
なんでひとりぼっちで孤立してる俺に話しかけてくれたんだろう
何もいい事ないのに
ネガティブな思考がぐるぐる頭を駆け巡る
でも、多分ロボロくんは誰にでも優しいから…
頭を捻らせて考えた結果1番いい結論に辿り着くと、満足してまたいつもの心拍数に戻った
やっと書けました‼️書いててあんまり手応えなかったですがこれからドキドキさせる展開に持っていけるように試行錯誤するので首長くして待っててくださいー‼️‼️‼️
コメント
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新作だッ………ヤバいウレシイッしかもマブダチ、主さんガチで女神超えてます……✨️
新作嬉しいです! とても面白かったですー!