テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
侑視点
最近先輩が怒鳴ることが増えた。それは俺が他の人と話したり、距離が近かったりする時。
最近えっちの回数が増えた。学校の空き教室でも、外でも。それは自分の欲を満たしたいだけの乱暴なセックス。しりの穴が裂けてもそれは続いた。
この前は殴られた。初めて行為を拒否したら、力いっぱいに顔を殴られた。痛かった。痛みと軽いパニックでボロボロと涙が出た。
無理やりのセックスも、殴られるのも正直辛かった。でも、その分先輩は愛をくれた。かわええな、愛しとる、大好きやで、ずっと離れんといてなって。
治から貰えなかった言葉を、先輩は毎日くれた。だから離れられなかった。
「侑、ちょっと言いにくいんだけどさ…」
先輩他に女がいたんやって。しかも、俺と付き合う前から。申し訳なさそうに角名が言うとった。
なにかがぽっかりと空いた気がした。
「そぉか」
「…辛くないの?」
辛くないって言うたら嘘になるけど、なんとなく気づいとった。
日に日に変わる香水の匂い。これは女のものやなって。1度もデートはしたことが無いし、先輩の家におじゃましたこともない。これは俺以外の本命がいる証拠。
「早く別れた方がいいよ」
「わかっとぉ」
それが嘘だったとしても、唯一愛をくれた存在を手放すのことが怖い。別れ話を出したらまた殴られて、躾されるんかな。そんな不安もある。
(はーぁ、どーしたらええんやろな。)
ピコン、とスマホがなった。
《○○教室でいつもの時間に待っとって。遅れるかもしれんから、そん時は自分で慣らしてて》
了解のスタンプを送ろうとした瞬間、手からするりとスマホが抜かれた。
「あ、!ちょっ…」
「侑、もうこんなのやめよ」
俺のスマホを片手に握った、角名の目は必死だった。なんでこんな俺の事気にかけてくれるんやろな。やることやって、最近では皆に噂されとるし、嫌われる要素なんか沢山あるのに。
「こんなの間違ってるって。先輩に脅されてるの?」
「ちゃうよ…俺の気持ちが弱いだけやねん、」
「侑はあの人に遊ばれてるだけだよ。なんでそんなことも分からないの?」
「分かっとるけど、…離れられんねん」
「なんで?やっぱり先輩に脅され…」
「あぁ”、もううっさい!!じゃあ角名は先輩の代わりになれるん?そんな簡単に別れろとか言うなや!!」
「…!ごめん、侑..俺が浅慮だった。…俺は代わりにはなれないけどさ、気が向いたら治と話してみてよ」
「…なんでサム」
「治も話したがってたし、侑のこと1番わかってるのは結局治だからね」
すぐに言葉が出てこなかったのは、実際その通りだと思ったから。いつも隣にいてくれたのも治。俺の身勝手にも、付き合ってくれたのは治だけだった。改めて治が自分にとってどれだけ大切で、なくてはならないものなのかを実感した。
「俺、どうしたらええ?」
「治とちゃんと話してきて。お前らなら大丈夫でしょ?」
角名が言ったことに確信はない。でも俺も、治となら大丈夫だと思えた。
「今日、治と話す」
「うん。言いたいことちゃんと伝えなね」
背中を押してくれた角名にお礼をして、家へと足を進めた。
─────
───
家に帰ると、治は夕飯を食べていた。本当は今すぐに話がしたかったが、幸せそうに食べる顔を見ると、話しかける気になれなかった。
「ツムおかえり。どこ行ってたん?」
「..ちょっと角名と出掛けとった」
「ほーん、珍しいな。…話したいことがあるんやけど、時間もろてええ?」
「え」
治の真剣な表情や、その改まった言い方から、大切なことだと容易に伝わってきた。
「風呂と飯終わったら、俺の部屋来てくれん?」
「お、おん」
何の話だろう。先輩と俺の関係についてだろうか。確かに治からしたら大迷惑よな。
待たせる訳にはいかないので、ご飯をかき込み、風呂は手短に済ませ、治の部屋に向かった。
─────
──
コンコン
無機質な部屋にノック音がいやに響く。
重い足取り。緊張感のある雰囲気。
「ツム、そこ座って」
床に座る治が正面を指さす。正座をしているあたりを見ると、本格的に話し込むらしい。
嫌だなぁと思いつつも、その指示に従う。
「俺は、俺が思っとったよりも、アホでポンコツやった」
今更やん、と思う反面、彼の口から初めて発しられた自虐を聞いて一瞬戸惑った 。
「お前とセックスせんくなって、なんや物足りん感じがした。女とやっても満足せんし、ただストレスが溜まるだけやった」
「…..」
「俺、お前じゃなきゃあかんかもしれん」
治は何も分かってないし、何も変わってない。結局治は俺の身体だけ。こういう所が本当にアホでポンコツだと思う。
「サム俺の気持ち考えたことあるか?ないからそういうこと言えるんやろな」
「は?なんやねんお前。言いたいことはっきり言えや!」
「ッ!このポンコツが!!俺の気持ちも考えんと毎晩腰振りやがって!!このヤリチンが!!」
「あぁ”?お前だって気持ちよさそうに喘いでたやろがい!!お前こそビッチやろ!!」
どんどん言い合いがヒートアップする。あかん、気持ちが抑えられん。こんな会話無駄だと分かっているのに。
だめだ、言えない。角名とちゃんと話すって約束したのに。本当に情けない。
どんどん感情が込み上げてくる。あかん、絶対泣かんって決めとったのに。
「うぅっ…好きな、ヤツとセックス止まりで、辛かったんや、ボケがぁ..うぐっ…」
「は?好きなやつって…」
「なんやねん、ひぐっ…軽蔑、しろや、」
なぁサム、お願いや。気持ち悪いって言って突き放して。そしたらきっと、この未練たらしい思いとも綺麗さっぱりお別れできるから。でも、お願い。この思いも丸ごと全部受け止めて。
「なんやねん、その顔」
「いやぁ、だってなぁ? 好きやったん?俺んこと」
「な、何回も言わそうとすんな!」
治の頬はだらしなく緩み、勝利を確信したような笑みを浮かべていた。
「つむ」
優しくて好きだった声色。久しぶりに聞いて、気持ちが少し高揚した。
「んぐっ!ちょ、離せや!」
「つむ」
「離せ言うとんねん!」
「つむ、暴れんで聞いて」
耳元でそう呟かれては、もう抵抗することは出来なかった。
「俺アホやから、ツムへの気持ちにずっと気づけんくて。ほんまにツムが隣に居らんと気い狂いそうになんねん、俺。」
俺を抱きしめる、治の力が強くなったのを感じた。
「それって、どういう…」
「ここまで言うてもわからんの、ツムも大概ポンコツやん」
「うっさい!お前と同じにすんな..んむっ!?」
突然の口付け。治とのキスなんて何度やったか分からないほどやったのに、なぜか胸がざわめく。
口を離し、息を落ち着かせてから、治は口を開いた。
「俺、つむのこと大好きになってもうたみたいや」
「えっ..//」
「今度はツムのこと、幸せにする。もちろん俺は本気や。だからツム、付き合おう」
治の本気の眼差しが、少し心地よくて。でも、こうやって流されるのは俺の質じゃない。
「じゃあ、サムが俺んこと惚れさせてや?やって俺まだお前んこと好きやないもん!」
少し煽るように言ってやれば、治はにかっと笑う。
「上等や、一瞬で射止めたる!」
サムと一緒ならきっとどんなことでも楽しいやろな。
これからサムはどんなアプローチをしてくるんかな。これからの毎日が楽しみで仕方ない。
END
やっと書き終えたぞー!
一応これで終わりだけど、Ranが書きたくなったら、わんちゃん続編ありかも?(結構あとになると思うけど!)
最後まで読んでくれた方、本当にありがとうございました🥰
そろそろ新作も出そうと思ってまーす!
じゃあばいばーい👋
コメント
19件
ハピエンー!!よかったぁ…安心笑 侑と元糞彼を〇して墓に葬ってやりたいと思ってしまったw 最後の最後まで全部上手すぎてぶっ飛んだ😀一人一人ちゃんと書かれてて読んでてまじ楽しかった😌続編出して欲しいなナンテ
侑と付き合ってた先輩最低野郎すぎて今これって感じです🙃 角名にまじ感謝、角名大好き🥰もちろん付き合った侑と治も大好きよ💕4話だけでこの満足感えぐい…、、続編楽しみだけど無理せずにね❣️
ハピエンで良かったぁぁ!!!!😭 角名めちゃめちゃいい人やん!角名みたいな相談相手?がいたら安心するんだろうな~ ナンテ…笑 続編見たーい!!✨️もし書いてくれるなら嬉しいけど、無理はしなくていいからね!