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まるで炭酸が抜けたラムネみたいに甘くて淡い、そんな恋を書きました。
ただ単に、夏が好きな主による、青春&雰囲気練習です。
葵(名前) 女子
日向(苗字) 男子
(2人の関係はご想像におまかせします)
蝉時雨が降り注ぐ、8月中旬。
祖母の家の縁側に座る、葵の白い肌とワンピースに、うっすらと汗が滲む。
葵「あ〜、今日も暑いね〜」
空を見上げ、眩しそうに目を細める。
今年で何度目の夏だろう?
そばで、大きな独り言を喋る葵を横に目を瞑る。
彼女の声は、風の囁きのように優しく、風鈴のように凛としていて、聞いていて心地よかった。
葵「ね〜、聞いてる〜?」
日向「ん?あぁ、ごめん。葵の声に聴き惚れてた」
葵「も〜、何言ってんの〜?」
そんなに面白かったのか、葵は腹を抱えて笑った。
そんな、ひまわりにも太陽にも、劣らない笑顔が好きだった。
積乱雲が時間をかけて左から右へと流れる。
溶けかけたイチゴ味のかき氷。
種と緑色の皮の部分だけ残されたスイカ。
すっかり伸びきった長いそうめん。
朝露に煌めく青紫の朝顔。
夏祭りの金魚すくいで獲った朱色の輝きを放つ金魚。
氷も溶け切った飲みかけのメロンソーダ。
太陽を見上げるヒマワリ。
一夏を照らす打上花火。
そんな、夏の一欠片。
また、その季節になると、清々しいぐらいに恋がしたくなる。
あぁ、恋の季節だ。
そんな青い空は春の匂いがした。