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第4話 最高のお菓子を作るために
桜の花びらがほとんど散り、校庭の木々はほとんどが真緑色の葉っぱになった頃。
新しいクラスにも少しずつ慣れ始め、学校にはいつもの日常が戻り始めていた。
そして――。
なんでも相談部にも、少しだけ変化があった。
💚「……」
俺は部室の机に突っ伏していた。
💛「じゃぱぱ」
向かいの席に座るたっつんが、呆れたように声をかけてくる。
💚「なに?」
💛「いや、なんでそんな落ち込んどるん」
💚「だってさぁ……」
俺は顔を上げる。
💚「なんでも相談部作ったのに、全然人来ないんだけど!」
部室を見渡す。机が二つ。椅子が二つ。(たっつんによって)綺麗に掃除された小さな空き教室。
でも――。
相談者は、まだ来ていない。
💚「なんでこんなに人が来ないんだろー…」
俺が呟くと、たっつんはため息をついた。
💛「はぁ、そら誰も来んやろ」
💚「え?」
思わず顔を上げる。
💚「もしかして、お悩み相談部アンチ?」
💛「ちゃうわ笑」
たっつんは笑いながら言った。
💛「だって学校中の誰が知ってんねん。この部活の存在」
💚「……」
俺は固まる。
💚「……あ」
💛「気づいた?」
💚「いや……」
言われてみれば、その通りだった。
💛「だって誰にも言ってないやろ?」
💚「うん」
💛「そら来んわ」
💚「……」
完全に忘れていた。部活を作ったことに満足して、その後のことを何も考えていなかった。
💛「じゃぱぱ、ほんま勢いだけで動くよな」
💚「えへへ」
💛「いっとくけど褒めてへんからな?」
💚「知ってる」
💛「このくだり何回目?笑」
二人で笑う。でも、たっつんはすぐに机へ向かった。
💛「ほんなら、まずは知ってもらわな」
💚「え?」
💛「チラシ作るで」
💚「たっつんが?」
💛「うん、誰かさんが思いつきだけで作った部活やからな、ちゃんと宣伝しとかんと」
💚「俺には強い意志が…」
💛「はいはい」
そう言いながらも、たっつんは楽しそうだった。活動内容。相談できること。部室の場所。二人で考えながら、一枚のチラシを作った。
そして次の日。そのチラシは、学校中の掲示板に貼られた。
『なんでも相談部』
困ったことがあれば、なんでも相談してください。場所:〇〇、部長:3年A組じゃぱぱ、副部長:3年A組たっつん
その文字を見て、俺は少しだけワクワクしていた。誰か来てくれるかな。そんな期待を胸に、放課後。俺とたっつんは部室で待っていた。すると――。コンコン。扉を叩く音がした。
💚💛「!」
俺はすぐに立ち上がる。
💚「どうぞ!」
#リクエスト
Rei7
1
118
えとゆあ推し!
61
ゆっくり扉が開く。そこに立っていたのは――。桃色の髪の可愛らしい女の子だった。
💚「……」
俺は目を見開く。
💚「あ!」
🩷「?」
💚「君、あの時の!」
女の子が首を傾げる。
🩷「……?」
たっつんが小声で聞いてくる。
💛「えっと…誰?(小声)」
💚「いや、前に見たことあるんだよ(小声)」
俺は女の子を見る。
💚「この前、廊下で困ってそうだった子!(小声)」
そう。なんでも相談部を作ろうと思ったきっかけになった人。
💚「俺、君が困ってそうだったのを見て、この部活思いついたんだよね!」
🩷「は、はぁ……」
女の子は少し困ったような苦笑いをする。
💛「じゃぱぱさん」
たっつんが小声で言った。
💛「困ってるって」
💚「あ」
俺は慌てる。
💚「ご、ごめんごめん!笑」
女の子は少し笑った。
🩷「えっと……」
そして、ゆっくり頭を下げる。
🩷「相談したいことがあります」
💚「もちろん!」
俺とたっつんは椅子を勧める。
🩷「私は、のあです」
彼女はそう名乗った。
🩷「家庭科部の部長をしています」
💚「部長!?」
俺が驚く。
🩷「はい」
のあちゃんは少し困ったように笑った。
🩷「実は……最近、お菓子作りが上手くいかなくて」
💛「お菓子?」
🩷「はい」
のあちゃんは持ってきた箱を机の上に置いた。
🩷「何度作っても、完璧にできているはずなのに……何か足りない気がするんです」
俺は箱を見る。中には、綺麗に並べられたおいしそうなお菓子。見た目は完璧だった。
💛「じゃあ、食べてみてもいい?」
たっつんが聞く。
🩷「はい」
一口食べる。
💛「……」
🩷「どうですか?」
たっつんは少し驚いた顔をした。
💛「普通にめちゃくちゃ美味しい!」
🩷「そうですよね…」
俺も食べてみる。
💚「ほんとだ……美味しい!」
甘さもちょうどいい。食感もいい。失敗なんてどこにもない。でも――。
💚「でも、のあちゃんは納得してないんだよね」
🩷「はい」
のあちゃんは頷いた。
🩷「もっと美味しくできるはずなんです」
💚「のあちゃんはなんで家庭科部に入ったの?」
🩷「小さい頃に、お母さんとよくお菓子作りをしていて。今もたまに一緒にしてるんですけど、その時にお母さんが褒めてくれて」
💛「いいお母さんだね」
🩷「おいしいって、すごいって言ってもらえて、それがうれしくて、お菓子作りが楽しくなりました。だから家庭科部に入りました。」
その言葉を聞き、俺たちは考えた。
💚「んー、何が足りないんだろ…」
💛「一回作ってるところ見たいかも、見せてくれる?」
なるほどね、考えてるだけじゃらちがあかないし、一回実際に見てみよう!
🩷「わかりました。明日家庭科室に来ていただけますか?」
そして後日。俺たちは家庭科部の活動を見学させてもらうことになった。
【5月上旬】
ここまで読んでくださりありがとうございます!
今回はのあちゃんのお悩み。完璧なはずなのになんか足りない…足りないものとは一体なんなのでしょうか?
実は『桃色の髪の女の子』は1話の時にでてきた女の子なのですが、気づいた方はいますか?
キャラクター説明
🩷のあ 3年B組 甘いものが大好きな優しくふわふわした女の子。家庭科部の部長。なんでものあが作るお菓子はお店レベルの絶品なんだとか!
コメント
1件
第4話読んだよ〜!🤍 じゃぱぱが勢いだけで部活作って誰も来ないって、たっつんの冷静ツッコミが毎回絶妙で笑っちゃう😂 チラシ作るところ、ほんわかしてて好きだな。 のあちゃんが登場して、しかも1話の子だったんだね! お菓子は完璧なのに「何か足りない」って感覚、わかる気がする…。ゆきさんの優しい筆致が沁みるよ🥀 次が気になる〜!