テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
82
179
1,341
漢字テストで全員合格したら遊園地に行くという約束をし、無事に全員合格。保護者の代わりとして光平の兄が来てくれた。
「和倉山音だ」
「光平の兄ちゃんと光平あんまり似てないんだな!」
「奏舞、そういうこと言わない」
「いいよ空舞。事実だし」
そう言う光平の顔は、なんとも言えない、ただただ無表情だった。兄弟仲が悪いというのは本当らしい。
「レッツゴー!!」
「待って待って、なんで私の手引っ張るの!?」
私たちはとにかく遊び倒した。
「ジェットコースター乗ろう」
「奏舞身長足りる?」
「空舞より2ミリ俺の方が大きいもん」
「愛楽、身長足りない…?」
「足りないわ…」
身長が足りない為、光平の兄と共に見学。
気まずい。
「…光平と喧嘩でもしましたか」
「え、いや別に」
「再婚したんですか」
「なっ、なん…!?」
アマネだかラムネだか、そんな感じの名前の人は露骨に反応した。どうやら当たっていたらしい。
「今年の春に再婚したんだ。俺は父さんの連れ子で、光平が引っ越してきた」
その話を聞いて、違和感が解消した。喧嘩とは違うあのよく分からない空気。あれは気まずさだったのか。さっきの雰囲気と似ている。知らない人と1対1でいるとき。
「私は再婚とか経験ないし、弟とすっごい仲いいんでわからないけど、腹割って話した方が楽になると思う」
「いや、もういいんだ。光平に嫌われてることぐらいわかってる」
「そうなんですか」
「全く目を合わせてもらえないし、あっちから話しかけてきたこともない。きっと俺のことを信用できてないん」
「待って」
私は遮った。おかしいと思ったから。
「あなたから歩み寄りましたか?」
光平の兄は何も言わない。ただ答えたくないとかそういうのじゃなくて、思考しているから答えられないに近いと思った。
「たっだいまー!めっちゃ楽しかったぁ〜」
「良かったね。空舞大丈夫?」
「すごく、開発者の努力が…感じられたよ」
空舞はジェットコースターが苦手らしい。乗り物酔いに近い感じがする。
奏舞とティナが興奮しているのを抑えていると、光平に声をかけた。私じゃなくて、光平の兄が。
「楽しかった…?」
「ぇ、ああ…うん」
「良かった」
光平は少し嬉しそうにしていた。光平の兄もそれに気づいたらしい。
外では無関心なように見えても、中ではいつ話しかけようかタイミングを伺っている。そんな子供らしいところがあるのが光平という生き物だ。
この先、兄弟仲は安泰だと思った。
コメント
3件
読了しました🌙 今回のエピソード、すごくじんわりきました。遊園地っていう楽しいシチュエーションなのに、光平くんとお兄さんの間の“距離感”がちゃんと描かれていて…。特に「自分から歩み寄りましたか?」って空舞ちゃんが遮るシーン、すごく好きです。兄妹仲が良いからこそ言える言葉ですよね。最後の光平くんの“嬉しそう”な表情、めっちゃ心温まりました。兄弟仲、ちょっとずつ良くなっていきそうで、この先も楽しみです🤍