心地よい風を浴び、眠たくなってきた頃。流石に冬にうちわは合わない。窓から寒い風が吹き込んできて思わず服を抱き寄せた。寒い。もう少し厚着をしようと棚を開き、数枚重ね着すると幾分か良くなった。
乱れた髪もしっかりと結び直し、少し眦に化粧を入れ、ちょっとお洒落をしてみる。紅を唇に引くと、一気に女性のような顔になった。顔だけ見るとやはり姉に似ていてなんだか現実に戻されたよう。気持ちが悪くて思わず髪を解いた。
夕焼けに染まった白髪の髪を梳かしながらmfくんの帰りを待つ。今日は忙しかっただろうからお話して、湯浴みして、早めに寝ようかな…と思うももう10時前。いつもなら夜伽をしたり沢山お話をする頃だ。一人で寝るのは少しあれなのでもうちょっとだけ武術を練習することにした。
「‥あれ?皇太后…」
廊下に出たところで瑞華‥じゃない瑞に出くわした。どうやら俺に用があったらしく、刀を咄嗟に隠して中へ招き入れた。
「どうしたの?瑞」
「いえ、皇太后こそ…その服装に髪型…武術の特訓へ行くところでしたか?」
「う、…そ、そうだけど…」
「なるほど…あの‥何か髪型が少し綺麗にまとまってないことが気になって‥結び直しても?」
「あ、ありがとう…!じゃあお願いするわ」
びっくりした。何か重大なことで訪ねてきたのかと思ってしまった。‥でもこのあとになにか話すかもしれない。
「皇太后。紐で結んで大丈夫ですか?」
「全然いいけれど…」
髪型は最低限気をつけていただけなので、更に夜とあって雑だったのかもしれない。些細なことに気づいてもらえてありがたい。
「よし‥できました…!
実は今日、お話をしに来ようと思ったのですが、今日は主人がお帰りになられたようなので私は帰りますね」
「…え?」
「…dn」
「ほら。では、私はこれで〜」
いつの間にか壁にもたれかかり俺等のことを見ていたのであろうご主人ことmfくんだ。
「ご、ごめ‥おかえりなさい」
「いや、別に。」
彼は答えず、そのまま俺の宮を出て廊下を歩き出す。行き先は庭園の奥にある演武場だ。日が落ち、月明かりだけが石畳を照らしている。普段は兵士たちが訓練に使う場所だが、今は誰もいない。
演武場に着くなり、彼は掴んでいた手首を離し、無言で木刀を二本、俺に差し出した。
「練習、?」
問いかけると、mfくんは小さく頷いた。その真剣な眼差しに、俺も自然と背筋が伸びる。一本を受け取り、構える。
「…始めようか。」
mfくんはいつもの紳士的な態度とは打って変わり、初太刀から容赦なく打ち込んできた。乾いた木刀の音が響く。
俺にくれた刀とは違い偽物ではあるが当たってしまったら怪我になりかねない。后という立場では致命傷だ。
「っ…!」
俺は咄嗟に受け流す。mfくんの動きは淀みなく、まるで計算された機械のようだ。美しいが、隙がない。俺は彼の動きに合わせて体を動かし、剣を交わす。彼が攻撃に転じるタイミング、重心の移動、呼吸の一つ一つに意識を集中させる。
何度か打ち合った後、mfくんは一歩引いて動きを止めた。
「どうしたの…?」
尋ねると、彼は少しだけ表情を和らげ、ぽつりと呟いた。
「…楽しかったですか?」
予想外の質問に、俺は面食らう。
「え、ええ。瑞は本当に器用だ」
俺が素直に感想を述べると、mfくんは少しだけ肩を落としたように見えた。
「そうですか…。彼女の腕前には敵いませんね」
そう言って、彼は再び木刀を構え直す。今度は先ほどよりも少しだけ速度が落ちたように感じた。
「あの、mfくん…もしかして、妬いてる?」
悪戯っぽい笑みを浮かべて尋ねると、mfくんの頬が僅かに赤くなる。彼は視線を逸らし、ぶっきらぼうに言った。
「…さあ、続き。集中して、dn」
その言葉に、俺は笑みを噛み殺しつつ、再び木刀を構え直した。月明かりの下、俺たちの練習はもう少し続きそうだ。
NEXT1000
親が今日はいなかったので奇跡的に早め更新!!!
展開なさすぎて…どうしよう…完結させないと‥笑
コメント
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あぁ、瑞さん…🥰 二人で訓練とか、めっちゃ好きです…!!✨本当は男同士なんだもんねって思えて、こういうの大好きです😊 訓練したからといって戦いは起こらないで平和であってほしいですが、、 そして毎回お母様攻防戦の報告、助かりますw!インフル移らなかったみたいですね?よかったです!
嫉妬しちゃってるmf君最高です!! 二人で鍛練してても嫉妬心で最初より動きが落ちてるのもめっちゃいいです!! どんどん皇帝と妃の距離があった関係からmfdnとなって、距離がめっちゃ近くなってるのも最高です!!!
嫉妬大好物ですほんとに可愛らしすぎるほんとに😭(語彙力)ありがとうございます🙇♂️🩵