テラーノベル
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暗い森の中、もう右も左も分からない中で、ふと空を見上げる。すると、一筋の光が見えた。
「流れ星か」
思わずつぶやく。子供の頃は流星群があるときは夜更かしをして、必死に願い事をしていたものだ。
「懐かしいな」
いつぶりに見ただろうか。ここ数年は、人工の光しか見ていなかった。
疲れて痛む足を無理やり動かし、歩き続ける。最初は軽かったはずの背中の荷物が、今は投げ出したくなるほど重かった。
そういえば昔、流れ星は人が死ぬ瞬間に流れると聞いたことがある。ということは、今この瞬間に誰かが死んだのだろうか。
「、ハッ」
ばかばかしい。しかし、こんな状況のせいか1度よぎった考えは頭にこびりついたままだった。
足の感覚がなくなってきた頃に、良さげな洞穴を見つける。座り込み、鞄の中身を取り出した。
数本のビール瓶と開け、一気に飲む。薬を肴に最後の晩酌だ。ぬるくて美味いとは言えないが、なけなしの金で買った最後の贅沢品。
「綺麗だなぁ」
こんなに綺麗な夜空は実家ですら見なかった。最後に見る景色がこれで良かったと妙な満足感を感じる。
薬を飲み込み、ふと思った。俺も死んだら流れ星になれるのだろうか。馬鹿みたいな話だが、そんな事も今は信じられそうだ。
俺の星に誰も祈りませんように。一瞬流れた星にそんなことを願いながら、酒を煽った。
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