テラーノベル
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🌹はなみせ🍏
仕事が終わり、心地よい疲労感の中で元貴さんと同じ車の後部座席に座る。
昨日までは、スタッフとして助手席に座るか、あるいは適度な距離を保って座るのが当たり前だった。でも今は、隣に座る元貴さんの体温がはっきりと伝わってくる。
「……らんちゃん、おいで」
その低い、甘い声に誘われるように、私は吸い込まれて彼の肩に頭を預けた。
これまでは「プロのスタッフでいなきゃ」って、自分に言い聞かせて我慢していた。でも、今日からは、少しだけ甘えてもいいんだよね。
「ずっと、こうしていたかった気がする……」
自分の恋心に気づくのは少し遅かったけれど、あの日声をかけてから、私の世界はずっと元貴さんを中心に回っていたんだと思う。
右も左も分からなかった中学生の私を、音楽の世界へ、そして東京へと導いてくれた人。
(夢を叶えさせてくれて、本当にありがとう。これからは、支えられる側じゃなくて、私が一番近くで元貴さんを支えるね)
窓の外を流れる東京の街並みが、昨日までよりずっとキラキラして見える。
これから向かうのは、元貴さんの家——ううん、今日からは「私たちの家」。
一緒にご飯を食べて、今日あったことを話して、同じ景色を見ながら眠りにつく。
そんな当たり前で、何よりも贅沢な毎日が始まるんだ。
「元貴さん、これからよろしくお願いします。……もう、一生離れないから」
繋がれた手に少しだけ力を込めると、元貴さんが嬉しそうに私の頭を撫でてくれた。
5年前、石川の空の下では想像もできなかった未来が、今、私の目の前に鮮やかに広がっていた。
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このお話、もう少しで終わりなんですけど、微妙なとこで終わるので、続きのお話しは、皆さんからのリクエストをもとに作ります。
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