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そんなある日、俺と主が二人きりで仕事の話をしていると、新たな化身が生まれた。


そう、その方こそ、私の主様です。


血のような赤の瞳と揶揄される俺の瞳は、深海のような深い青になっていた。いつも着ている正装は、紺色のスーツに変わっていた。


この時俺は本能的に理解した。俺はこれから変わらなければいけないんだと。


それから、英厳は弟達に嫌われているの理解していたので、名前を変えて、口調も変えて、別のドールとして生きることを決めました。


ですが、流石に急に英厳が居なくなることなんてできないので、両方を演じてゆくのを決めました。


二人が揃わないのを不審がられると、不仲だと、説明するようにもなりました。


私のネーミングセンスは乏しく、偽名を考えようとしても思い付かなかったので、生まれたばかりの主様に「貴方の名前は?」と聞かれた時に、「名前は有りませんので、主様がお考え下さい」と返し、炎吉と言う名を貰いました。


それからというもの、炎吉の時は、これまで主と呼んでいた大英帝国様を旦那様と呼ぶようにしました。


私達ドールは、自身が仕える化身を呼び捨てやさん付けにはできないのです。必ず“様”か、私のように主や主様、旦那様とお呼びするのが絶対だと、魂に刻まれています。


「こちらに寄るな」


「ヘラヘラと笑うな」


「もっとキリッとできんのか」


ある日、英厳として庭を散歩していると主が眉間にシワを寄せ、後継者の主様にそう言い放っているのを目撃しました。


「全く、あの化身は不器用過ぎる」


さっきの言葉を翻訳すると、「デレて口元が緩むから近づかないでくれ」、「その天使のような笑顔を向けられると耐えられないほど可愛いから止めてくれ」、「そんな笑顔を向けられていると俺が持たない」だ。わざわざ通訳者が必要になるとは、面倒だ。まぁ、俺が言えたことじゃないが。


それから数年して、アメリカ合衆国の化身とそのドールである炎利は独立した。


思えば、俺は昔から、どうも相手の感情を読み取るのが下手だった。


特に、愛情やら、悲しみやら、喜びやら、そんな感情を読み取るのが少し苦手だった。


殺意や敵意、憎悪、そんな感情ばかり読み取るのが得意になっていた。


まさか、あの紅茶を海に捨てる、なんて荒っぽい真似に出るとはな。あの時主は頭を抱えていたな。


今なら、あの時の彼奴等がどれほど切羽詰まっていたか痛いほど分かる。


もっと早く、彼奴等の本心に気付いてやるべきだったのかもしれないが、どうも当時の俺にはそれができなかった。


それから百年未満だろうか、主と、極東の島国が同盟を結んだという。


かつて、栄光ある孤立と謳われていたが、それも、その日までのことだ。​

鋼鉄のドールが掴み取った幸せ

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