💚「舘さん、俺、好きな人がいる」
日を改めて涼太の家に行き、残務処理をした。
涼太は、驚くこともなく、静かに俺を見ている。翔太から何か聞いているのだろう。
💚「騙すような真似をしてごめんなさい」
❤️「阿部…本当なの?」
💚「うん。俺、翔太が好きなんだ。本当は」
❤️「そう」
💚「また翔太と付き合うの?」
❤️「いや…もうそういうのじゃなくなった。今さら顔向けもできないし。俺、今は阿部に本気なんだよ」
💚「ごめん。もう応えられない」
❤️「そうか」
じゃあさ、と言い、涼太は俺を押し倒してきた。
目を瞑る。
最後に、抱かれるくらいはいいかと思った。どうせ汚れた身体だ。好きにしてくれ。子供じゃあるまいし、気持ちがあろうとなかろうとすることは同じ。少なからず涼太に情も湧いてきている。
❤️「抵抗しないの?」
💚「うん。どうぞ」
❤️「……無理だわ。俺、ちょっともう無理」
💚「……帰るね」
❤️「…………」
泣かないと思っていた涼太の、目頭が熱くなっているのを見て、俺は罪悪感に苛まれていた。
❤️「阿部」
💚「ん?」
❤️「本当にみっともないと思うけど、好きだよ」
💚「うん。ありがとう」
俺はこうして涼太を捨てた。
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