テラーノベル
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亜津沙がこの家に来てから五年が経った頃、また典華が幽霊を連れてきた。今度も女の霊だ。
『典華、そいつは友達か?』
「あぁ」
俺がそう問うと、典華はにっこりと笑って答えた。
そういえば、この時には既に、典華は男口調になっていたな。
なんでだったかな。確か、「俺も、兄貴と彰みたいに強くてカッコよくなりたい!」なんて単純な理由だったか。
女の霊は、そこそこ強そうだ。言うなら、亜津沙より強くて俺より弱い。そんな感じだ。
『私は、杏那。宜しくね、彰!』
ニコッと笑う女の霊、杏那は何故か俺の名前を知っていた。
後で聞くと、典華が杏那に教えたんだとか。
杏那曰く、彼女は生前の記憶はほとんど無く、『火の雨に焼かれて死んだ』と言うことしか覚えていないらしい。
まぁ、そんな感じで、またこの家の住人が増えた。
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