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兎に角。
爬虫類以前の生命は皆さんの仲間、哺乳類や鳥類のそれとは格別されて強靱、粘り強いのである。
彼等は自分達が生存可能な環境になるまで我慢強く死に続けて待つのだ。
そんな環境にならなかったら?
心配には及ばない。
そんな場合に彼等には出来て哺乳類や鳥類が不可能な手段、取って置きが『脱皮』である。
『脱皮』は世間一般に知られるように、一回り大きくなるだけではない。
寧ろ驚くべき効果で言えば、肉体の復活、これに尽きるだろう。
欠損した部位の再生だけに留まらず、眼球等の感覚器官、重要な内臓や体の大部分を失っても『脱皮』を経て新品同様、文字通り復活、リセットされると言っても過言ではないのである。
この奇跡の修復作業の際、注目すべきは欠損部位や治療を要す箇所が大きいほど、『脱皮』後に完全健康体となる体躯が小さくなってしまう事実である。
厳しい自然環境で生きる野生の生物にとって、個体のサイズが小さくなると言う事は、多くの場合で捕食されるリスクを増大させる。
のみならず、原初の生命体に近い昆虫や魚類に対して、進化の段階を多く経ている爬虫類にとっては行動を停止せざる得ない『脱皮』の行為自体が死のリスクを背負うだけでなく、『脱皮』の失敗も少なくは無いのだ。
故に、両生類も爬虫類も安易に『脱皮』を選択することは無い。
それこそ死に瀕した場合、それも個体の死ではなく、群れや種族全体が滅亡しかねない場合でなければ選ぶ事は無いのである。
数多くのリスクを負ってまで実行された『脱皮』は、成功を果たした個体に劇的な回復力を与える。
前述の通り、欠損部位まで見事に再生させたりしてくれるのだ。
これには部分的な治療ではなく、親から譲り受けたDNAの情報に基づく作り直し、その後の成長については個々に蓄積したRNAの経験が加味されているようだ。(※諸説有ります)
まあ、詳しくは幹細胞についての本とかでちゃんと勉強していただきたい。
ここでご紹介すべきは両生類と爬虫類の『脱皮』について、つまり竜が生まれた経緯についてだからね。
『脱皮』の仕組みと再生について掻い摘んで話したテューポーンは言う。
『あの令和の時代、様々な理由で増えた魔力があらゆる生命に影響を与え始めた時、爬虫類以前の生き物たちは必死に生き残りの道を探したんですよ』
『『「…………」』』 ゴクリ
かなりむつかしい話である、それでもレイブとギレスラ、ペトラは真面目な顔で息を飲んでいる。