テラーノベル
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カイは数日、村に滞在した。その間、何度も守り木の前に立ち、結局いつも引き返した。
夜、ユリエは木のそばで彼と並んで座った。
星はよく見えた。
「ねえ」
ユリエが言う。
「どうして越えたいの?」
カイはしばらく黙っていたが、やがて答えた。
「向こうに、帰る場所がある。でも……戻ったら、全部壊す」
彼の声は、静かだった。
怒りも悲しみも、すり切れた後の音だった。
「だから、ここで止まってる。壊すくらいなら、動かない方がいい」
ユリエは、胸の奥が少し痛んだ。
「それって……優しさ?」
カイは笑った。
「呪いだよ」
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