テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
556
みえりな@多忙の為あまり居ない
10,580
そろそろ終わりが近付いてきました!!ちなみにもう新作考えてます。毎日妄想しまくりで勉強出来ません😊😊
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
着信の軽快な音楽がスマホから流れる。コール中、女優はニヤニヤと笑いながら佐野を見ていた。
プツッと着信音が止まり、愛しい落ち着く声がスマホのスピーカーから聞こえてくる。
「……もしもし。勇斗、?」
「……仁人。」
「ど、どうしたの急に。……なんかあった?」
いつもよりも元気の無い、か細い声に佐野は心苦しくなる。あんなにも酷いことを言ったの佐野の心配をしてくれるこのお人好しに佐野はため息がもれる。
こんなにも優しいこいつに、俺は……。
女優が自分のスマホをいじり、画面を見せてくる。
──早くビデオにして。
佐野は舌打ちをし、吉田に言う。
「あー、仁人。今時間あるか?」
「う、うん。あるけど。」
「俺、ビデオにするからさ、それ見れそう?」
「……ビデオ?わかった。」
画面をビデオに切り替える。吉田の顔と佐野の顔が画面に半分ずつ映された。背景を見るに、吉田はもう家にいた。吉田は本気で心配していた。ついこの前思い切り突っぱねて来た恋人が急に電話を、しかもビデオ通話をかけてきたからただ事でないと思った。お互いこの2日まともに顔を見ていなかったため、どうしたらいいかわからなかった。
佐野が頼んだ烏龍茶の氷が溶けて、カランと鳴く。
少しの沈黙の後、佐野が切り出した。
「今から起こること、目離さずにちゃんと見とけよ。」
「…うん。」
女優は「やっと出番来たぁ」と佐野の隣の席に移動すると、佐野の画面にもう一人映り込む。吉田はそれを見て、一瞬目を逸らしたが、すぐに画面を見直す。
女優のきつい香水が佐野を逃がさないとでもいうように包む。女優が佐野の服を掴み、目をつぶる。佐野は唾液を1回飲み込み、深呼吸をした。
女優の肩に手を回し、自分を映したまま、唇を合わせようとした。
「……いやだ、。」
蚊の鳴くような、小さく震えた声がスマホから聞こえた。佐野は女優から顔を逸らし、バッと画面を見る。そこには涙を静かに何粒も流している吉田が映っていた。思わず本音を漏らしてしまった吉田は、口を手で抑え、カメラを外カメに切り替え、顔が映らないようにしてしまった。
「ごめっ、ちゃ、んとみてるから、」
泣きながら話してるせいで、言葉が途切れ途切れになる。スマホは吉田の鼻をすする音まで、佐野に届けてしまっていた。
「じ、仁人。大丈夫か。」
「だ、いじょぶ。いいよ、。」
「ねぇまだぁ?」
女優の甘ったるい声が個室に響く。佐野は自分のせいでもう何度泣かせたか分からない愛する人を目の前にして、それ以上動くことができなかった。女優が怪訝そうな目を向けてきているのに。ここでキスしないと、写真をばら撒かれるかもしれないのに。
それでも佐野は、これ以上吉田を傷つけたくなかった。
一言「ごめん。」とだけ言い残し、電話を切ると女優は瞬時に怒り出す。
「はぁ!?何勝手に切ってんの!?まだキスしてないし!何、写真ばらまかれてもいいわけ!?」
「いや、そういう訳じゃないです。ただ、すみません。これ以上あいつを傷つけたくないんです。」
「……何それ。まじ意味わかんない。帰る。あ、あと写真の件、覚悟しといてね?」
1人残された佐野は、吉田に謝罪の連絡をしようと文章だけうち、そのまま送ることはなくトーク画面を閉じた。今、画面上でいくら謝ったとて、気持ちがちゃんと伝わるとは思わなかった。
明日、仁人に本当の事を話そう。
そう佐野は誓った。
コメント
5件
一気読みしちゃいました。 まじで冗談抜きで涙止まらないです。佐野さん、はやく、はやく吉田さんを抱きしめてあげて😭 仲直り待ってます😭😭😭
良かった😭😭良かった😭😭してなくてよかった😭😭😭
のりもちさん、第14話読みました。 ああ、もう胸がぎゅっとなりました……。佐野が電話を切って「ごめん」とだけ言って女優の要求を拒んだ瞬間、本当にほっとしました。あそこでキスしなかった選択、すごく重いし、でも彼にとっては「これ以上仁人を傷つけたくない」という気持ちが勝ったんでしょうね。そして電話越しに泣きながら「いいよ」と言う吉田の声が切なくて、想像するだけで辛くなりました。 結局メッセージは送らずに、明日直接話すと誓ったラスト。ここで焦らず、ちゃんと向き合おうとした佐野の決意、すごく良かったです。新作の構想もあるとのこと、勉強との両立も大変でしょうけど、この物語の行方も最後まで見届けたいです!