気づけば、私は鏡張りのような真っ白な空間にいた。 目の前には、私と同じ顔をした女性――この身体の本来の持ち主であるソフィアが、透けるほどの儚い姿立ち尽くしている。
「……私はこれまで、100回も殺されてきたわ」
声が震えていた。彼女の背後には、地獄絵図のような「死」の経験が、巨大な山のよう積み上がっている。
断頭台で首を撥ねられ、紅蓮の炎に焼かれ、毒を飲んで血を吐き、あるいは路地裏で刺される――100通りの無惨な骸。
「ある時は、公爵家からアンナを連れて脱走したわ。でも、あり得ない土砂崩れが起きて馬車が転落して連れ戻された。またある時は、カイル殿下に尽くし、聖女とも仲良くしようと努めたわ。でも……王城で起きた殺人事件の濡れ衣を着せられ、処刑されたわ。そして死ねば、結婚式の前日に戻されるの」
彼女は自身の腕を抱く。瞳から、涙がこぼれ落ちた。
「でも、あなたなら……。私の人生を、変えてくれるかもしれない」
私は彼女の手を取り、力強く握りしめた。
「……事情はわかったわ。でも、安心して。私は前世で一度死んで、もう失うものなんて何もないの」
驚きに目を見開く彼女を私はぐいと引き寄せ、その震える肩を抱きしめた。
「101回目は、このクソみたいなシナリオをブッ壊して絶対に勝たせてもらう。王城から抜け出して、最高の幸せを掴み取ってやるわ」
私は不敵な笑みを浮かべて見せた。 オリジナルのソフィアは、初めて救われたような顔をして、霧のように消えていった。
この作品はいかがでしたか?
13
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!






