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【水縹と紫苑の行く末】
nk×sm 死ネタ含む
ぶつり、と何かが途切れるような感覚がして目が覚めた。時間はどれだけ経ったのだろうか。
何か、大切な何かが無くなった。それがなにかは分からない。とてつもない喪失感だけが胸の中にある。何かが消えた。途切れた。
突然独りぼっちにされたような感覚に陥る。いや、さっきからずっと一人だったけど、そういうことではない。何か、肉体的な繋がりだ。
何が何なのか全くわからない。この感覚の正体も、自分の存在意義すら。
気を紛らわせたくて、家を飛び出す。やっぱり行く宛のない旅だ。夕暮れ時の空は、端が橙色に染まり始めている。何が推進力になっているのかは知らないが、かなりのスピードが出る。物をすり抜けるのだから、空気抵抗すらも受けないのかもしれない。
結局どこに行くこともなく、ただ街の上空を飛び回っただけだった。
家に戻ると、そこには家族の姿があった。みんな疲れた様子だ。
「父さん、母さん」
呼びかけても、当たり前だが返事はない。触れようと手を伸ばしたが、その手はすり抜けてしまった。こんな姿になったら、家族に触れることも叶わないのか。
死んだ人って皆こんな感じなのかな、なんてことを思いながら自室に戻る。
勉強机の上に、小さな、まっしろの骨壺が置かれていた。
なんとなく、さっきの何かが無くなる感覚が腑に落ちた感じがした。多分あの時俺は火葬、単純に言ってしまえば燃やされていたんだろう。喪失感の正体は、肉体が消えたことなのかもしれない。
今日は、色んなことが起こった。気持ちを整理したくて、布団に潜り込もうとする。しかし、そうすることは出来なかった。
この体では、何かを動かすことが難しい。触れることはできても、それを動かせない。生物には、触れることすら叶わない。
だって自分は、この世に存在していないから。なるべく現世に影響を与えないようになっているんだろう。
どうしようもないのでそのまま寝転がり、天井を眺める。その気になればポルターガイスト的な何かも出来そうだけどやめておこう。多分良くない。
今日は、何曜日だろうか。俺が死んだのが日曜日で、それから2,3日経ったとすると水曜ぐらい。きっと明日は学校がある。学校に行けば、またみんなに会える。
ま、会っても誰も気付かないけど。こんなのただの自己満だ。
特にやりたいこともなく、かといってすぐに眠れるわけでもなく。ベッドで蹲っている内に、気づけば眠ってしまっていた。]
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