テラーノベル
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第49話
それで、私が着付けされていたりすると、マリーさんから魔導電話がきた。
『ノアの息が無いから早く来て』と。
私は頭の中が真っ白になった。
ノアの、息がっ……無いっ……? 夢だよ。夢。
「グレーテ。私、戻らないといけないから……」
私が頭の中に浮かんだ言葉を次々と口の中から放すと「私が送るよ。こんな夜遅くまでいてもらったんだよ。申し訳無いし……」とグレーテが上品に微笑んだ。
「うん。ありがとう。こんな夜分遅くまでごめんね」
「私こそ、我儘聞いてもらってありがとう」
それから、無重量空間をグレーテを抱いて飛んだ。
「ひゃぁー! ってあれ?」
「着いたよっ……疲れたぁ……」
私は、そう言いながら、二階にあるノアの部屋に駆けていった。
ノアっ! 無事でいて……
❂
「ノアっ!」
私は、冷たくなったノアの体の中にある呪いを見つけた。それが、元凶……ってあれ? ノアの体を潰すには、もっと強力な呪いじゃ無いと……
というか……これで、ノアがっ……くそっ……何で気づけなかったのっ……
「解呪をします。心肺蘇生と解呪は?」
「その魔道具でやっている。でも、まだ戻っていない」
心肺蘇生を魔道具で……凄。
「俺が、何とかそこまでやったんだが……魔力が限界でな……すまない」
私は、解呪を初めた。かなり強いタイプの呪いだった。
グレーテは、端で見学している。見学しなくていいのに……
「ノア。心の灯は消えてはだめよ」
私は解呪が終わった頃にノアの頭を撫でて一通の涙を流した。
誰にも気づかれない。そのくらいの涙。
「死んでは駄目。私のように、誰かを守ってよ……そのくらい、してもいいんじゃない? 傷つけて逝かれるなんて嫌だよっ……」
「リナ……」
ニルスさんが背中を譲ってくれていた。
息は戻らない。でも、魔力が微かでも見えれば、魂はそこにある。
……人工呼吸。今はそれしか方法が無い……
あれって、病院にあったチューブみたいなやつを口に突っ込むやつだよね……それを自分で……
「人工呼吸。それができる機械って存在するんですか?」
「あるが、普及してない……って!」
私が普及してないと聞いて人工呼吸を始めたら、皆、目を丸くしていた。
キスじゃないよ。知らんけど。
人工呼吸のやり方は、前世の病院に置いてあった本で読んだ事ある気がする。こんな時に役に立つとは……思いもしなかったな。
取り敢えず、気道は確保できている。
息はそこに私が送り込んでいる。心臓マッサージに加えてこれをするのは意味があるのか、無いのか分からないけど、この世界線には人工呼吸ってのは無いみたい。
少しすると、ノアの脈と息が戻った。
「ノアっ……良かった……」
力んでいた体が急に脱力されて、しゃがんでいたけれど立ち上がれなかった。
……いや、めっちゃ痺れてる。痺れて立ち上がれないとか記憶にある限り初めてだわ。
「リナ……この人って、ノアさん?」
グレーテが私の隣に来て手を差し出してくれた。
「うん。毒を盛られたって事が分かって、あの日から寝込んでる。私が前に見た時は、あまり悪くはなかったのだけど……」
私は、グレーテの手を取りながら唇を強く噛み締めた。
こんなに悔しかった事は、記憶にある限りは片手で数えられるくらい。
呪いって……見えてたのに……
あれから、グレーテとラルフさんを直ぐに送っていってノアの部屋に戻った。二人ともヒャーヒャー言って夜には悪かったな、と後で後悔した。次はちゃんと歩こう……
ニルスさんの回復薬は限界を超えちゃうから、また明日。それに、明日も学校だから、私に任してくれた。
カールさんは、会計の計算を終えて寝ている。一応、週はじめだから今、徹夜するとお店がまわらなくなる。
#魔道具職人
こはる
834
こはる
461
#切ない
こはる
16
15
マリーさんは、私用に毛布を持ってきてくれた。私は、マリーさんの優しさを振り払って、寝室へ入らせた。
月も雲に隠れた暗闇の中で、隣に眠るノアの静かな息吹だけが、自分が一人ではないことを証明していた。
「っ……俺、は……」
私がその声で目を覚ますと、ノアが起きていた。今は……
私が窓の外を見ると……あれ? 太陽が見えるのが違うって事は無いよね……
それより、ノア……
「良かった。起きてくれた」
私が無理矢理微笑むと、ノアは「ごめん。心配させちゃったよな」と言いながら起き上がった。
心配って……
「私、気づけるはずなのに気づけなかった……」
「そんな事無い。俺も呪いまでは自覚できなかった。不可抗力に過ぎないだろ」
「そうだね。でも、許さない。ノアをここまで苦しませて……」
やるせないよ。そんな事言われたって……
「俺、もう大丈夫だから、休んでて。ちゃんと動ける」
そう言ってノアは立ち上がった。
コメント
1件
はる。だわ。第50話、めっちゃ熱かった……!リナがノアの呪いに気づけなかった悔しさと、それでも人工呼吸って手段で命を繋いだ冷静さ、そのギャップが刺さったわ。しかも「キスじゃないよ。知らんけど」って地の文でさらっと入れるの、リナらしくて笑った。助かった後の脱力感とか、自分の無力さに唇噛むところも、感情がビシビシ伝わってきた。続きが気になる🔥